第14章 アルバーナ
花子の作戦も虚しくハサミは幸せそうな顔で沈んでしまい、ゾロ、サンジ、ウソップ、マツゲは河に投げ出されてしまった。
「危なかったわ…。」
「本当に…奈津子さんがいなかったら私達も巻き添えだったわね。」
『主…何だ、その格好は。』
「あ、忘れてたわ。」
沈む前に朱雀を呼び出した花子によってユラ、ナミ、ビビ、チョッパーを乗せ沈む事は免れた。あられもない花子の姿を目にし呆れた顔をする朱雀に彼女は変化の術を解く。
「おいっこら!花子ー!俺等も乗せろっ!」
「て言ってるけど。」
『却下だ。』
「だって。」
「「ふざけんなぁーっ!?」」
自分達は乗せてもらえない事にウソップとゾロか声を荒げる。しかし、このままでは埒が明かないと諦め河を泳ぐ事にした彼等に大きな影が忍び寄った。
「なんじゃ!ありゃー!」
「"サンドラマレナマズ"!ごく稀に出現するの!」
「んな説明いらねぇよ!」
「あと人間が大好物!」
「そっちを先に言えっ!?」
突然飛び出してきた巨大なナマズ。大きく口を開け飲み込もうとする怪物に3人と1匹は逃げ惑う。流石に放っては置けないと花子が飛び出そうとした時、ナマズが吹っ飛ばされ白目を剥いて浮かんでいる。
『『『クォーッ!!』』』
仰向けになって浮かんでいるナマズ腹の上には"ユバ"に向う時に別れたクンフージュゴン達の姿。どうやら気絶をしたナマズに乗せて岸まで運んでくれるそうだ。
「『兄弟子を放っとけねぇっす』だって。」
「いや、俺達ルフィの弟子じゃねぇけどな。」
「でも、助かったわ!」
「お前は何も危なくなかっただろ…。」
どうやら彼等にとってゾロ達もルフィの弟子と言う認識の様だ。兎に角これで無事に河を渡れると安堵していると、1匹の小さなクンフージュゴンが花子に飛び付いた。
『クキュオー!』
「ふふっ、助けてくれてありがとう。」
『クゥ〜…。』
「むぅ〜!おかあさんはユラのおかあさんっ!」
甘える様に擦り寄る子供のクンフージュゴンの頭を撫でる花子に頬を膨らませ負けじとユラもしがみ付いた。
(何て言ってんだ?)
(《ママ、会いたかった》だって。)
(てか、花子のあの技は何だったんだ?)
(…それは後で聞く事にしましょう。)