第3章 生まれてきてくれて…
あの日から事ある事に花子を避けるエースに周りも気付き始め、あのルフィでさえ何があったんだと首を傾げる程だった。
「なぁ、エース~…花子と喧嘩でもしたのか?」
「…別にしてねぇ。」
「でも凄ぇ花子の事避けてるだろ?あいつ…寂しそうな顔してたぞ…。」
本当にこの弟は普段アホなのに何故、こう言う時は敏感に反応するのか…。周りをウロチョロするルフィにエースは苛立たしげに顔を歪めた。
「喧嘩したんなら、早く仲直りしろよぉ!」
「いいだろ、別に。」
どちらにしても後2年も経てば自分はここから旅立ち海に出る。そうなれば花子とも、もう会う事はないだろう。だったら、このままでいた方がお互いの為だ。
「俺が嫌だ!」
「…お前はいつもそう我が儘をっ!」
「俺はエースの事も好きだが、花子の事も好きだ!だから、俺の好きな奴等が仲悪いなんて嫌だっ!」
何だ、その自分主体の言い分はと呆れた顔をするエースだが、当のルフィは真剣な面持ちでエースを見つめる。
「それに、エースだって花子の事好きだろ!」
「…別に。」
「嘘だ!だってエース、花子の事もいっつも見てんじゃねぇか!」
マジで何言い出すんだこいつはと、思うも確かにいつも自分の目線の先には花子がいた。たまたまかと思っていたがあれは自分が彼女を目で追っていたのかと、今更ながらエースは恥ずかしくなる。
「ホンマこう言う時は、ルフィの方が素直やなぁ~。お前も少しは見習い~。」
「…キンジ。」
「話あるさかい、いつもの岬で待っとけ。」
有無を言わさない鋭い眼光で睨み付けられ、エースはビクッと肩を震わせる。完全にキレている様子のキンジにエースは何も言えず指定された場所へと向かった。
「ここじゃ駄目なのか?」
「こう言う時は2人っきりの方がえぇやろ?」
キョトンと首を傾げるルフィの頭を撫で、キンジはニヤリと悪い笑みを浮かべると何処かへ行ってしまった。
(花子はぁん♡)ぎゅっ!
(わっ?!キンジ?どうしたの?)
(ちょっとお願いがあるんやけどぉ~!)
(…。)また、下らない事考えているのかしら?