第14章 アルバーナ
必ず戻ると言うルフィの言葉を信じて"アルバーナ"を目指す麦わらの一味だが、船長の不在に何処か皆落ち着かない様子。
「ふんっ!ふんっ!」
「ゾロ~…つかれない?」
「…うるせぇ。」
無心で素振りをするゾロにユラが声をかけるが彼の素っ気無い態度に落ち込みトボトボと花子の元に戻って行く。
「放って置けよ、ユラちゃん。何かしてねぇと気が紛れねぇのさ。…特にあいつは1度七武海のレベルをモロに味わってる。」
「…おい、てめぇ。言いたい事があんならハッキリ言ってみろ。」
呆れた様に口を開くサンジにいつもなら軽く流すゾロが苛ついた様に食って掛かった。
「あぁ、言ってやるよ。てめぇは、ビビってんだろ?ルフィが負けちまうんじゃねぇかって。」
「誰がビビってるだと!このぐるりんマユゲ!」
「あ"ぁ"?!あったまきたぜ!このまりもヘッド!」
「ちょっと、あんた達っ「静かにしなさい!」
不穏な空気が流れる2人をナミが止めようとした時、語気を強めた花子の声が辺りに響き渡る。
「ルフィは必ず戻る!なのに今ここで仲間割れしたら誰がビビを守るの。未来の海賊王のクルーならこんな事で動揺しない!」
「「…。」」
「後ゾロ、ユラに八つ当たりしない。」
「…悪かったよ。」
「サンジ君もこんな時にゾロを挑発しない。」
「…すまねぇ。」
冷静さを取り戻したのかゾロとサンジはお互いの胸倉を掴んでいた手を離した。これが海賊王のクルーだった者の余裕なのか。ドンと構えている花子に誰もが言葉を失った。
(大丈夫よ、ルフィなら。…それより。)
ふと"レインベース"で別れたスモーカーの言葉を思い出す。
ーお前の事は海軍に報告させてもらうぞ。…後、その餓鬼の事もな。ー
(まさか…感付かれた?)
"ユラヒメ"に関してはお伽話程度でしか知られていない。だが、もし海軍がその事に目を付けたとしたなら…。
(面倒な事になったわね…。)
取り敢えずキンジに話しておくかと思ったが電伝虫はクロコダイルに潰された事を思い出し、花子は苦虫を噛んだ様に顔を顰めた。
(よし!頭を"アルバーナ"へ切り替えて!行くのよ!【ハサミ】!)
(なんだそりゃ…?)
(カニの名前よ。)
(…ハサミって、お前。)