第13章 ユバ・レインベース
"アルバーナ"へ向かう為、東へ進んでいたルフィ達だったが走って砂漠を越える訳にもいかない。町には海軍もいるので馬を手に入れる事も出来ない。
「おおーい!皆ぁー!!」
どうするか頭を悩ませていると、大きな音と共にチョッパーの声が聞こえた。嬉しそうに手を振る彼とラクダのマツゲが乗っているのは巨大な蟹。サンジの作戦でチョッパーが"アルバーナ"までの移動手段を探してくれていた様だ。
「よぉーし!出発だぁー!」
全員が巨大な蟹【ヒッコシクラブ】に乗り込み"アルバーナ"に向かって出発しようとした時、ビビの身体がふわりと宙に浮いた。
「チョッパー!止めて!」
「どうしたんだ?!」
「ビビっ!?」
彼女の腰にはクロコダイルの鉤爪がかかっていた。花子がビビの手を掴むよりも早くルフィが飛び出し自分と引き換えにビビを投げ飛ばした。
「お前等っ!先に行け!ちゃんとビビを家まで届けるんだぞ!」
「ルフィっ!」
「花子っ!後は任せたぞ!」
手を伸ばす花子にルフィはニカッと笑顔を見せる。自分は心配ない、変わりに仲間を頼んだぞと言う様に。
「っ負けたら特訓10倍にするからね!」
「それだけは嫌だ!」
ぐっと拳を握り締め笑顔で言い放つ花子にルフィは心底嫌そうな顔をする。先に進むようゾロに言われ再びヒッコシクラブは走り出す。
「いいか、ビビ。この国が消えるのを唯一止められるのがお前なら、何が何でも生き延びろ。この先ここにいる俺達の中の誰がどうなってもだ…!」
「そんな…!」
離れていくルフィを追う様に飛び出そうとするビビにゾロが覚悟を決めろと語気を強める。
「ビビちゃん、こいつは君が仕掛けた戦いだ。…ただし、もう1人で戦っているなんて思うな。」
「っ!ルフィさん!"アルバーナ"で待ってるから!」
「おぉっ!!」
優しく語り掛けるサンジの言葉に身体を震わせていたビビは何かを決意した様にルフィに向かって叫ぶ。必ず彼が戻って来る事を信じて。