第13章 ユバ・レインベース
颯爽と現れたサンジにルフィ達は歓喜の声を上げる。仲間の無事を確認した彼も何処と無くホッとした様子だった。
「花子さん…すまねぇ…。こんな大量の鰐の相手を1人でさせちまって…。」
「大丈夫よ、駆け付けてくれてありがとう。」
にっこりと微笑む花子にサンジは自分の不甲斐無さに唇を噛んだ。兎に角、檻の鍵を飲み込んだバナナワニを探そうとするがどの個体か見分けがつかない。
「今、3番目に入って来た奴を仕留めろ。」
「お前っ…分かんのか?!」
「てめぇ等の耳は飾りか?鍵食った奴と唸り声が同じだろ。」
スモーカーの言葉を信じバナナワニに目を向けると、檻から抜け出したユラが花子に飛び付いた。
「おかあさん!あの子!」
「あの子?」
「うん!なんかつっかえてるみたいで苦しいって言ってる!」
ユラが指差すのはスモーカーが指定した鍵を飲み込んだバナナワニだった。自分に目配せする花子に頷き、サンジがバナナワニの腹に強烈な蹴りを叩き込むと口から出てきたのは鍵とは別のものだった。
「"ドルドルボール"…解除っ!っおぉ…水がだガネっ!奇跡だガネ!」
ドロドロとした白い球体から現れたのは"リトルガーデン"でルフィ達と対面したMr.3だった。しかし、彼の姿はあの頃とは別人の様にシワシワに萎れていた。
「ぷはーっ!生き返った!死ぬかと思ったガネ!ふふふ…クロコダイルめ、私を…ぶべっ?!」
「「「えぇーっ?!」」」
身体の渇きを潤す様にMr.3は床から湧き出る水を一気に喉に流し込む。元の姿を取り戻し高笑いを上げる彼を花子が無言で殴り飛ばした。
「花子さん?!何で?!」
「…何かイラッときたの。」
「理不尽だな、おい!?」
つんっとMr.3から顔を背け刀を抜いた花子はゆっくりと檻に近付いていく。
「花子〜?何する気だ?」
「檻を斬るのよ。」
「お前、分かってんのか?!ゾロでも斬れなかったんだぞ!?」
「でも、このままだと皆溺死よ?いいの?」
花子の視線の先には亀裂の入った壁から水が漏れ出ている。一刻を争う事態にウソップは顔を青ざめさせる。
「ほら、危ないから身体を屈めて。」
そう言って花子が刀を振り下ろしたと同時に、壁は崩壊し大量の水が雪崩込んできた。