第13章 ユバ・レインベース
ぷるぷるぷるぷるっ
《もしもし?もしもし?聞えてますか?》
「えぇ、聞こえてるわ。ミリオンズね。」
《おい、これ通じてるのか?俺、子電伝虫使った事ねぇんだよ…もしもし?》
通信を繋げた電伝虫からはクロコダイルの部下ともう1つ聞き慣れた声が聞こえた。
「おい!さっさと要件を言え!何があった!?」
《あぁ、その声…聞いた事あるぜ…え〜こちら…クソレストラン。》
電話口でもたついている相手に苛立ちを覚えたクロコダイルが声を荒げると、その言葉に彼は目を見開く。
「てめぇ…一体何者だ…!?」
《俺か?俺は…“Mr.プリンス”。》
何処かで聞いた事のある相性。今何処にいると尋ねるクロコダイルをよそにウソップが檻の中からMr.プリンスに向かって叫ぶ。
「プリンスーっ!助けてくれぇ!捕まっちまってんだよぉーっ!時間が無ぇんだ!」
《はは…そばにいるみてぇだな。うちのクルー達は…じゃあ、俺はこれから…。》
突然、電伝虫から銃声が響く。聞こえなくなった彼の声の変わりに、辺りには重々しい空気が流れた。
《はぁ…はぁ…手古摺らせやがって…もしもし!?はぁ…はぁ…捕らえました。この妙な男をどうしましょう?》
彼の物とは違う声が聞えルフィ達からは焦りの色が伺える。レインディナーズの正面門にいると情報を得たクロコダイルは足早に向かって行く。
「使えねぇなっあの野郎っ!生きてんだろうな?」
「サンジーっ…!!」
彼がそう簡単にやられるとは思えないが仲間の声が途絶えた事にいつも言い争いをしているゾロの顔にも焦りが見える。
「ビビっ!何する気だっ!?」
「この部屋に水が溢れるまでまだ時間がある!外に助けを呼びに行くわ!」
「下らねぇ真似すんじゃねぇっ!」
バナナワニの気が別の事に移っている間にビビが壊れた階段を攀じ登る。そんな彼女に向かってもの凄い速さで影が横切る。
「はぁ…何とか間に合ったわ。」
「花子さんっ!?」
クロコダイルの鉤爪がビビに襲いかかろうとした時、拘束されていた筈の花子が刀で彼の攻撃を防いだ。
「此処は私に任せてビビはサンジ君の所に行って。朱雀、ビビをお願いね。」
『承知した、行くぞ。』
「必ず戻ってくるわ!」
大きく頷きサンジの元へ走り去る2人を背に花子はクロコダイルを睨み付けた。