第13章 ユバ・レインベース
「花子!鍵は!?鍵はどうなった!?」
「ちょっと待って!今、それどころじゃない!」
巨体のわりに素早い動きのバナナワニの攻撃に花子は身を飜えし交戦する。此処は水に囲まれた部屋。勢い余って水槽が割れでもしたらまずい。
『グルルッ…』
「ちょっ、待って待って!?」
床にキラリと光る物を見付けバナナワニの興味がそちらに移る。まさかと思い焦った花子は自分に興味を逸らそうとするが、彼女には見向きもせずバナナワニは鍵へと近付いていく。
「あ…。」
「あぁっ?!」
「どうした?!何かあったのか!?」
「鍵が…飲み込まれちゃった…。」
「「何ぃーっ?!」」
ゴクリと鍵を飲み込んでしまったバナナワニは満足した様に巣に戻ってしまった。嘲笑うかの様に笑みを浮かべたクロコダイルは身体を飜えし部屋を出て行こうと歩き出す。
「花子!お前、何やってんだよ!?」
「いや〜…あはは…ごめんね?」
「くそぉ〜!ビビ!何とかしろっ!俺達を此処から出せ!俺達が此処で死んだら誰があいつをぶっ飛ばすんだ!」
「自惚れるなよ、小物が…。」
まるで自分を倒すのが当たり前の様に檻の中で叫ぶルフィにクロコダイルは馬鹿にした様子で視線を送る。
「お前の方が、小物だろ!」
真っ直ぐと自分を見つめ言い放つルフィの言葉にクロコダイルはパチリと指を鳴らす。すると床が開き中からバナナワニが顔を覗かせる。
「こいつ等を見捨てるなら今の内だぞ、Ms.ウェンズデー。反乱を止めたいのならな。」
唸り声を上げゆっくりと近付いて来るバナナワニの大きさにビビはたじろぐ。
「よし!勝てー!ビビー!」
「無茶言うなっ!?」
脱出しようにも鍵を飲み込んだバナナワニがどの個体か分からない。更に部屋には水が溢れ出し沈むまで時間も残されていない。
「【クジャッキー】…!っきゃあっ!?」
「ビビつ!?」
バナナワニがビビに襲い掛かる。その巨体に反し動きは速くバナナワニの尻尾によりビビは跳ね飛ばされてしまった。
「ビビっ!逃げろっ!」
「ビビーっ!?」
「くっ…!」
負傷した身体を何とか動かそうとするビビにバナナワニが食らいつこうと口を大きく開いた時、クロコダイルの向かった廊下から電伝虫の声が鳴り響く。