第13章 ユバ・レインベース
「まったくルフィは…。女の子の顔を殴って。」
苦笑いを浮かべながら花子は赤く腫れたビビの頬を優しく撫でる。
「…ルフィのやり方はどうかと思うけど…でもね、ビビ。」
ふと自分を見つめる花子の表情は悲しげで、そんな儚く微笑む彼女からビビは目を離す事が出来なかった。
「人はいつか死ぬの…。」
「っ!」
「生きて欲しい…ずっと側にいたい…そう思っても叶わない事があるの…。」
そうだ…彼女はそれを目の当たりにしたのだ…。1番守りたかった命を…側にいたいと願った人の最後を…。
「でも…助けられる命だってある。その為に私達がいるのよ。」
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クロコダイルと対決する事を決意した麦わらの一味はB.Wの本拠地である"レインベース"に辿り着いた。"ユバ"から丸1日歩いたそこはオアシスと呼ぶに相応しい程賑わっている。
「…そうだ、ウソップ。頼んどいたアレ出来てる?」
「おぉ、アレか!出来てるぜ!凄ぇのが!見ろ!これがお前の新しい武器!クリマタクトだ!」
自慢気に懐から取り出した物をナミに渡しウソップは新しい武器の説明をする。敵のボスと戦うのだから武器は持っていた方が良いのだが、そんな事あの男が許す筈もない。
「そんな危ねぇ物を持たなくったってプリンセス達は俺が守るぜ!プリンスと呼んでくれ!」
「プリンス。」
「ぶっ飛ばすぞ!この野郎!」
自分に任せろと決め顔で豪語するサンジにゾロが茶々を入れる。そんな彼等のやり取りはもうお決まりになっていた。
「よーし!クロコダイルをぶっ飛ばすぞー!」
「だからお前はもっと慎重に動けよ!!」
それぞれ覚悟を決めて"レインベース"へ突入した一味は人気の無い所に腰を下ろす。チョッパーはトイレに行き、ルフィとウソップは水の調達に向かう。
「お前等は大丈夫か?」
「えぇ、思ったより平気みたい。」
「ユラも大丈夫!」
少し疲労は伺えるも元気よく答えるユラにゾロは感心した様に彼女の頭を撫でた。
「思ったより根性あるじゃねぇか。だが、こっからは何があるか分かんねぇからな、褌絞めていけよ。」
「おかあさん、フンドシって何?」
「…頑張ろうって事よ。」
首を傾げるユラに苦笑いを浮かべ説明していると、遠くからルフィとウソップが海兵を引き連れて戻ってくるのが見えた。