• テキストサイズ

海賊王の懐刀

第13章 ユバ・レインベース


「私はね…ビビちゃん!国王様を信じてるよ…!あの人は決して国を裏切るような人じゃない…。そうだろう!?反乱なんて馬鹿げている…!あの馬鹿共を…頼む!止めてくれ!!」

ビビの肩を掴み涙ながらに懇願する老人の名はトト。彼はかつて国王に砂漠の交差点として"ユバ"という町を作らないか持ち掛けられた開拓者の1人であった。

「何度も…何度も何度も止めたんだ!だが反乱は止まらない。反乱軍の体力も、もう限界だよ…。次の攻撃で決着をつけるつもりさ…。もう追いつめられて死ぬ気なんだ!頼むビビちゃん…!あの馬鹿共を止めてくれ!!」

慈悲深く敬愛する国王がその様な事をする筈がない。反乱軍のリーダーとなった自分の息子コーザの行いに顔を歪め涙を流すトトにビビは笑顔で力強く頷く。

「反乱はきっと止めるから!」

「あぁ…ありがとう…。」

ーーーーーー

トトの計らいで一味は久々に屋根がある所で休める事になった。連日の慣れない砂漠越えに皆はすぐに眠りに落ちる。そんな中、何か音が聞こえ目を覚ましたルフィが外に出る。

「水は出るさ…。"ユバ"はね、砂なんかに負けないよ…。何度でも掘り返してみせる。此処は私が国王から預かった大切な土地なんだ!」

それはトトが砂を掘っている音だった。彼は水を出る事を信じ昼夜問わず砂を掘り続けていた。ルフィに気付き語り掛けるトトの瞳は強い信念が宿っていた。

「よし!じゃぁ、掘ろう!」

彼の姿に突き動かされたルフィが穴に飛び込み勢い良く掘り進めていく。しかし連日の疲労も相まって彼は穴の中で眠ってしまった。

「…疲れていただろうに。」

いびきをかいて眠るルフィを見つめ顔を綻ばせたトトは彼を担ぎ宿に戻って行く。

「…。」

「盗み見とは剣姫様も良い趣味してんな。」

「…あなたも同じでしょう。」

物陰から2人の様子を見つめていた花子にエースが声をかける。少し拗ねた様に愚痴を溢せば彼は戯けた様子で笑う。

「…ルフィって不思議な子ね。」

「あいつは良くも悪くも真っ直ぐだからな。」

子供の様に無邪気かと思えばその中には強い信念が宿っている。眩しいものを見つめる様に目を細め微笑む花子を見つめエースも目元を和らげ2人に視線を移した。

/ 247ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp