第12章 ナノハナ
昼間とは打って変わって砂漠の夜は冷える。一味は身体を寄せ合い焚き火を取り囲み暖を取る。
「~っ夜の砂漠ってこんなに冷えるのね。昼間の暑さが嘘みたい。」
「ナミさぁん!ビビちゅわぁん!すぐに温かい食事を作るから待っててね!」
「サンジ!俺も腹へったぞ!」
「触るな!まだ焼けてねぇ!」
肉の焼ける匂いに誘われ手を出そうとするルフィにサンジが目くじらを立てる。どんな状況でも賑やかな彼等を見つめ花子は顔を綻ばせる。
「エース〜、ぎゅってして〜!」
「…たく、昼間は嫌がってた癖によ。」
甘える様に腕を伸ばすユラに愚痴を溢すエースだったがその可愛らしい仕草に、何とも言えない表情を浮べ優しくユラを抱き締める。
「あったかぁい〜!」
「良かったわね、ユラ。エースもこれを羽織って。」
心地良い温かさに包まれふにゃりと顔を緩めるユラを見つめ、花子は何処から取り出したのか毛布をエースの肩にかける。
「こんなもん持ってきてたのかよ。」
「当たり前でしょう、ユラが風邪をひいたら大変だもの。」
「お前はいつもそうだな。」
ちゃっかり自分もストールを羽織り暖を取る花子に苦笑いを浮べ、ついでに彼女も温めてやるかと肩に引き寄せようとした時、花子に向かって何かが勢い良く飛び込んできた。
「花子、ずりぃぞ!こんな温かいそうなの持ってきて!」
「…。」
「ルフィ、いきなり飛び付いたら危ないでしょう。」
寒いとへばり付くルフィに小言を言いながらも花子は優しく彼を包み込んだ。彼女の肩に回そうとしたエースの腕は虚しく宙を彷徨っていた。
「あったけぇ〜…。」
「チョッパーにくっ付いてたんじゃなかったの?」
「あいつモフモフだし温けぇけどよぉ、こっちの方がいい!」
いくつになっても甘えたなルフィに苦笑いを浮かべるも、可愛らしく思った花子は自分の胸に擦り寄る彼の頭を優しく撫でた。
「ルフィ…てめぇ…。」
「ん?どうしたんだ、エース?」
恨みでも籠もった様な声でゆらりとエースはルフィの背後に立ち、キョトンとした顔で自分を見上げるルフィの首根っこを掴み花子から引き剥がした。
(何すんだよっ!寒ぃだろ!)
(うるせぇっ!お前はいつもいつもっ…!)
(けんか?)
(仲が良いわね。)