第12章 ナノハナ
只、歩いているだけだとつまらなくなったのかルフィがじゃんけんで勝った者が次の岩場まで全員の荷物を持つと提案した。
「ちっきしょ〜…。」
「悪いな、ルフィ。」
「頼んだわよ。」
結果はルフィの勝ち。目の前落とされた全員分の荷物に肩を落とす。他のメンバーは幾分か身軽になったのかその足取りは軽くなっていた。
「ややっ!前方に岩場発見!」
「何っ?!岩場!」
ウソップの声に落ち込んでいたルフィの顔が一気に輝く。我先にと駆け出した彼だったが何故か直ぐに戻って来た。どうやら岩場に瀕死の状態の鳥が倒れているらしい。
「これは…?」
「ワルサギの仕業よ、旅人を騙して荷物を盗むの。」
治療してもらおうとチョッパーを連れ岩場に戻るが、そこには鳥の姿は無く。ルフィが持っていた荷物も消えていた。
「あいつ等だぁ…!!」
ビビの説明に目を見開くと鳥の羽音の様な音が聞こえた。目を向けるとそこには馬鹿にした様な笑みを浮かべるワルサギ達。騙されたと理解したルフィは怒り逃げる鳥達を追い駆けて行ってしまった。
「ルフィ!駄目よ、追っちゃ!あんた此処へ戻ってこれるの!?」
「そうか!そっちのが面倒だ!戻れ、ルフィ!」
広大な砂漠に加え目印になる様な物もない。今、彼と逸れてしまえば見付ける事は困難になってしまう。制止するナミとウソップをよそにルフィは姿を消した。
ーーーーーー
「うううおぉぉぉーっ!?」
「…ルフィ、戻って来たわよ。」
ルフィの帰りを待ち岩場で休んでいると遠くから慌てた様な彼の雄叫びと共に砂煙が舞い上がっているのが見えた。目を凝らしよく見てみるとルフィの背後には巨大なトカゲ。
「ちょっ?!何あれっ?!」
「あれはっ!サンドラ大トカゲ!?肉食でとても獰猛な生物よ!」
「何ちゅうもん連れて来とんじゃー?!こっち来んなっ!」
ルフィが連れて来た大トカゲにナミとウソップは慌てふためくが、ルフィ、ゾロ、サンジの活躍により事無きを得た。
「凄ぇ〜!岩で肉が焼けるぞ!」
「今日はここで野宿をしましょう。」
倒した大トカゲの肉を岩に乗せると太陽の光で熱せられた岩はジュウッと音を立て肉を焼いていく。思わぬ形で食料確保が出来たものの、気付けば日が暮れ一味は野宿をする為テントを張る。