第12章 ナノハナ
照り付ける太陽の中、"ユバ"を目指す麦わらの一味。冬島育ちのチョッパーは完全にダウンしてしまいゾロに引っ張ってもらっている。さらに、砂漠地帯ではあるが坂が続いてビビ曰く、歴史の古い砂漠なので大きいものでは300mもの砂丘もあるようだ。
「み…水~…。」
「ルフィ…一口よ。」
暑さにやられ水を飲もうとするルフィにナミが釘を刺す。砂漠を越えるまでは計画的に水分補給をしなくてはならない。
「ふくみ過ぎだ!」
「お前!今のは13口分はあるぞ!」
一口と言われルフィは伸びる皮膚を活かして大量の水を口に含む。反則的なルフィの行動と暑さでの苛立ちでサンジとウソップが声を荒げる。
「ユラ、大丈夫?」
「うぅ〜…あつい〜…。」
花子に抱えられているユラの声は弱々しい。子供にはこの暑さは堪えるのか、グッタリとしているユラの額から流れる汗を拭う花子にエースが近付いて行く。
「ユラ、大丈夫か?」
「ん〜…。」
「花子もキツイだろ、俺が代わるぞ。」
砂漠を進んですぐユラを抱えている花子を気遣いエースがユラに腕を伸ばす。しかしユラは一瞬考えた後、きゅっと花子の服を握り締めた。
「…エース…あついから、やだ。」
「…。」
「ふふっ、私は大丈夫よ。ありがとう。」
"メラメラ"の実の能力者である彼はその名の通り炎を操る。その影響からかエースの体温は高く今この状況で彼に抱えられるのは避けたいのか、ユラは顔を背ける。
「…ちぇ、何だよ。」
「ほら、拗ねないの。砂漠の夜は寒くなるみたいだからその時、抱き締めてあげて。」
ユラに拒否されたのが地味にショックだったのかツンと唇を尖らせエースは愚痴を溢す。そんな彼の表情が可笑しかったのか花子は笑みを溢す。
「ビビ!弁当食おう、力出ねぇよ。」
「だけどまだ"ユバ"まで1/4くらいしか進んでないわ。ルフィさん。」
「馬鹿だなー、お前。こう言うことわざがあるんだぞ?【腹が減ったら食うんだ】!」
「…無いわよ。」
謎のことわざを作り出したルフィに花子が透かさずツッコミを入れる。彼の勢いに押されビビが次に岩場を見つけたら休憩すると言う事で話は纏まった。