第12章 ナノハナ
弟子になったクンフージュゴンも一緒に連れて行こうとしたルフィだったが砂漠越えは水辺に住む彼等には厳しい。最終的に食料を少し分けると言う事で話はついた。
「どうすんだ、食料が減っちまったじゃねぇか!」
「あんたの取り分無しにするわよ!」
砂漠超えの食料が随分減ってしまいサンジとナミはルフィに声を荒げる。ようやく出発出来ると言うところだったが花子とユラの姿が見当たらない。
『クゥ〜…。』
「ごめんなさい…あなたの為なのよ…。」
「ユラもお別れするのさみしいよ…。」
「「「…。」」」
膝に縋り付く子供のクンフージュゴンに花子とユラは寂しそうに眉を下げる。今生の別れの様に哀愁漂う後ろ姿に誰も声をかける事が出来なかった。
『クォ〜…。』
「?!違うよ!おかあさんはユラのおかあさんだよ!」
「…チョッパー、あの子何て言ったの?」
「"ママ…"て。あいつ、花子の事母親だと思ってんのか?」
甘える様に花子の膝に擦り寄るクンフージュゴンにユラが慌てた様に声を上げる。どうやら子供のクンフージュゴンは生まれて直ぐに親を亡くし花子に母親の影を重ねた様だ。
「おかあさんはユラだけのおかあさんなの!だからダメ!」
「っ!ユラ!私もユラだけよ!ごめんなさい、私達行くわね。」
「…あっさり見捨てやがったぞ。」
「まあ、良かったんじゃない。あのままだと先に進めないし。」
花子からクンフージュゴンを引き離し自分だけのものだと言う様にユラは彼女にしがみ付く。先程の哀愁は何処へやら。きゅうんっ顔を緩ませ花子はユラを抱えるとさっさと仲間の元に戻って行った。
「…良かったのか?」
「いいのよ、あの子には仲間もいるし。私にはユラだけだもの。」
「うん!おかあさんはユラだけのおかあさん!」
余りにもあっさり退いたのでエースが花子に尋ねると、ケロッとした顔でユラをキツく抱き締める。ユラも嬉しそうに花子に擦り寄り昔から変わらない2人の様子にエースは顔を綻ばせた。
(俺等にとっても花子は母ちゃんみたいだもんなぁ〜!)
(ダメー!ユラの!)
(どちらかと言うと2人の母親はダダンさんじゃない?)
((それだけは止めてくれ!))