第12章 ナノハナ
再び大陸に辿り着いた麦わらの一味は目の前の広大な砂漠に圧巻される。手頃な所で船を止める上陸の準備をしている中、サンジがいじけた様に膝を抱えている。
「俺の踊り子さん達がぁ〜…。」
「お前はまだ言ってんのかよ…。」
砂漠の日差しは強いのでナミ達女性陣達は華やかな格好の上にローブを羽織っている。目の保養としてその服を選んだサンジとしては予想外の展開に絶望している。
「ほら、サンジ君…いじけないの。」
「あぁ…花子さんも着ちゃってるっ…!」
「この国を救えばきっといくらでも踊り子さん達見れるわよ。」
苦笑いを浮べ慰める様に頭を撫でる花子にサンジは何を思ったのか元気を取り戻した。いよいよ砂漠に降り立とうとした時、水面から何かが勢い良く飛び出した。
「うおー?!何だこりゃ?!亀か、アザラシか!?」
「クンフージュゴン!?」
アザラシの様なフォルムに亀の甲羅を背負った珍妙な生き物は、ここら一帯は自分達の縄張りだから通りたくば自分達を倒して行けと豪語している。
「馬鹿にされちゃあ男が廃る!やってやろうじゃねぇか!」
「戦っては駄目よっ!ウソップさん!クンフージュゴンは…。」
ビビの静止を無視してその可愛らしい見た目からウソップが余裕の表情を浮べ勝負を挑む。しかし、勝負は意外な結果となった。
「強いから!」
「負けんな。」
「あっちで勝ってる奴もいるぞ。」
「勝っても駄目!」
クンフージュゴンは可愛らしい見た目に反して武闘派で負けた相手に弟子入りするらしい。あっさりとボコボコにされたウソップに対して勝利したルフィは大勢の弟子を従えていた。
「何してるのよ…。」
近くの岩場に腰掛けその様子を眺めていた花子は呆れた表情を浮かべる。かく言う彼女も勝負を挑まれたが生き物を殴る趣味は無いので、覇気により戦う事なく服従させた。
「おかあさん、見て見て〜!」
嬉しそうに花子に駆け寄るユラの腕には他のクンフージュゴンより小さな子供のクンフージュゴンが抱えられていた。
「…。」
この時、花子は見えない何かに胸を撃ち抜かれた衝撃を感じたと言う。
(よし!行くか!)
(ええ、行きましょう。)
(待て待て!そいつ等連れて行く気か?!)
(花子もその抱えているちっこいのは何だ!?)