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海賊王の懐刀

第3章 生まれてきてくれて…


エース side


キンジの妹だって言う花子。元海賊なだけあって予想より遥かに強ぇし、何かと俺達の世話を焼いてくれた。

「なぁ、花子~!勝負しようぜぇ~!」

「ちょっと待ってね~、これが終わったら相手してあげるから。」

ダダンや俺達の洗濯物を干す花子の周りをルフィがウロチョロしている。強く優しい花子にルフィは懐いてるし、俺もこいつの事は好ましくは思う。

「ルフィ、花子の邪魔してんじゃねぇよ。」

「だってよぉ~…!」

「まず俺に勝てねぇ癖に花子に勝てる訳ねぇだろ!」

不満そうに頬を膨らませるルフィは、俺より強い花子に勝てば自分は俺より強いと言いやがった。

「ルフィ君、そろそろキンジが帰ってくる頃だろうから迎えに行ってあげて?」

「そしたら勝負してくれるか?」

笑顔で頷く花子にルフィは顔を輝かせ凄ぇ勢いで飛び出して行った。本当に…我が弟ながら単純と言うか…。

「悪いな、いつもルフィが迷惑かけて。」

「うぅん、慕ってくれるのは凄く嬉しいわ。」

最後の洗濯物を干し終え籠を抱える花子の腕からそれを奪い取る。

「ありがとな。お前が来てからルフィはいつも楽しそうだ。」

勿論俺もと、笑いかければ花子は驚いた様に目を見開いた後、何処か悲しそうに微笑む。

(また…この顔だ。)

こいつはたまに俺の顔を見ると凄ぇ悲しそうな顔をする。それは俺に対してって言うより…俺を通して誰かを見ている様な…。

(なぁ…お前は何に悲しんでいるんだ?)

その瞳には…誰を映してるんだ…?

ーーーーーー

すっかり日が落ちて花子をマキノさんの所に送った後、家に入ろうと扉に手を掛けると中から話し声が聞こえてきた。

「キンジさん…花子ってもしかして。」

「…ダダンはんは気付いとったか。」

花子がどうしたんだ?2人の会話が気になって俺は気付かれない様にそっと耳を傾けた。

「やっぱり…花子はあの"剣姫"なんだね。」

「おん…ウチも詳しくは分からんが、あん人は生きてたんや。」

(剣姫?何処かで聞いた様な…。)

ふと町でチンピラ共が話している会話を思い出した。

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