第12章 ナノハナ
久々の再会に喜び合っているユラとエース。仲睦まじい2人の様子に花子は顔を綻ばせていると、ルフィがエースに声を掛けた。
「エース!こいつ等が俺の仲間なんだ!」
「ああ、こりゃどうも。いつもルフィがお世話になってます。」
「「「いやまったく。」」」
ユラを抱えたままエースはペコリと頭を下げる。その礼儀正しい態度に本当にルフィの兄なのかと一味は動揺を隠しきれずにいた。
「ルフィのお兄さんがこんなに常識人なんてっ!?」
「俺はてっきりルフィに輪を掛けて無茶苦茶な奴だと…。」
「目茶苦茶いい兄貴じゃねぇか…!?」
「やっぱり弟がアホだと兄貴はちゃんとしてんだな…。」
「しっけいだぞ!お前等!」
散々な言われ様にルフィはジトリとした視線を仲間に送る。日頃の行いからすると仕方の無い事だが少し可哀想に思えて、花子は苦笑いを浮かべながらはルフィの頭を撫でた。
「それにユラも…こいつ意外とお転婆だから大変だろ?」
「ユラは凄くいい子よ!」
「ああ、ルフィより聞き分けいいしな。」
「そうか!ユラも大人になったんだな!」
「うん!だってユラ、もう8さいだもん!」
えっへんと胸を張るユラをエースは我が子の成長を喜ぶ様に破顔させる。そんな彼の様子にナミがふと口を開く。
「ねえ、ルフィのお兄さんと花子さん達はどう言う関係なの?」
ルフィの兄なのだから昔から知っていると言う事は当たり前だが、エースが花子に向ける気持ちが特別なものなのではないかとナミは感じていた。
「俺と花子か…。」
少し考えた後、エースは花子に目を向け徐ろに彼女の腰に腕を回し引き寄せた。
「婚約者だ。」
「え?」
「「「ええーっ?!」」」
一味の驚きの声が辺りに響き渡す。突然の事で目を点にさせてた花子だったが自慢気に笑みを浮かべるエースの額を小突いた。
「違うわよ。」
「何だよ、結婚しようって約束したじゃねぇか!」
「あれは保留にしたでしょう。」
「な…何だ、違ぇのか…。」
「やっぱりルフィのお兄さんね…。」
確かに言われたが約束はしていない。呆れた顔で否定する花子に拗ねた様にエースは口を尖らせる。
「…。」
そんな2人の遣り取りを何とも言えない表情で見つめる人物に誰も気付かなかった。