第12章 ナノハナ
ルフィに兄がいた。それだけでも驚きなのに兄弟揃って悪魔の実の能力者である事に一味は驚愕していた。
「俺もビビった!昔は何にも食ってなかったからな。それでも勝負して俺は1回も勝てた事なかった。兎に角、強ぇんだ、エースは!」
「あんたが1度も?生身の人間に?!」
「怪物の兄は大怪物だな…。」
どう育てたらこんなデンジャラス兄弟が生まれるのかと、動揺する一味をよそにルフィはキョトンとした顔で花子に首を傾げた。
「そう言や、エース何か怒ってたぞ?」
「…何となく予想は付くわ。」
「花子さんも知り合いなの?」
「花子は俺とエースが一緒にいた時からいるからな!エースは強ぇけど花子には1回も勝った事ねぇんだ!」
「「「?!」」」
ルフィが1度も勝った事の無い相手が花子に勝てない。未だ未知数の彼女の強さに一味は言葉を失う。
「けど、今やれば俺が勝つね!」
「誰が…誰に勝つって?」
自信満々に胸を張るルフィに対し誰のものでも無い声が響く。驚き目を向けると上半身裸にオレンジのテンガロンハットを被った少年が柵にしゃがみ込んでいた。
「エースー!」
「よう、ルフィ。久しぶりだな!それに…。」
嬉しそうに破顔するルフィに笑顔を向けたエースは彼の隣にいる花子に目線を送る。
「花子も…会いたかったぜ。」
「…久し振りね、エース。」
ニッと口角を上げ笑顔であるにの目が笑っていない。面倒臭い事になったと花子はヒクリと顔を引き攣らせていた。
「キンジから聞いた時は驚いたぜ。まさかルフィの船に乗ってるなんてな。」
「いや…それはなりいきと言うか…何と言うか…。」
張り付いた様な笑顔のエースに花子は口篭り後退る。ジリジリと壁際まで追い詰められ気付けば逃げ場を失ってしまった。
「俺の時には断った癖によ。」
花子の顔に両手を付いたエースは拗ねた様に愚痴を溢す。異様な雰囲気の2人に誰も声をかける事が出来ずにいたがエースの足にユラが飛び付いた。
「エース!久しぶり!」
「おぉっ!ユラか!でっかくなったなぁ〜!」
嬉しそうに抱き着くユラに先程のとは打って変わって表情を和らげたエースが彼女を抱き上げる。取り敢えずは助かったと花子は1人胸を撫で下ろした。