第12章 ナノハナ
勝手な行動は慎む様にと花子の言い付けを無視してルフィは光の速さで町に飛び出した。必要物資、食料調達は顔を知られていないサンジ。そして、船番をしておくと言った花子とユラ以外の者が町に向かった。
「ルフィ達まだかな?おかあさん。」
「そうね、面倒事持ってこないといいけど。」
ユラを膝に抱え本を読んでいる花子の願いも虚しくバタバタと慌てた様子でゾロ達が戻って来た。
「急げ!急げ!海軍が来るぞ!」
「乗り込んで錨を上げろ!」
「…。」
「皆、おかえり~!」
やはり問題を起こしたかと花子は頭を抱え出航の準備をしているゾロ達を見つめるがその中にルフィの姿は無い。
「ルフィはどうしたの?」
「あ?って、あいつ何処行きやがった?!」
どうやら海軍から逃げている途中で逸れたらしい。船は既に出航してしまいどうするか頭を悩ませていると船着き場に人影が現れた。
「おーい!酷ぇじゃねぇか!置いてくなっ!」
「あの馬鹿っ!あんなとこにっ!」
「どうする?!今、戻るのはやべぇんじゃねぇか?!」
大きく両手を振るルフィを回収するにも今、戻ったら海軍に見つかるかもしれない。慌てる仲間をよそに花子はチョッパーとユラを抱えると、甲板の端の方に移動した。
「花子、どうしようっ!?ルフィが!」
「ルフィなら大丈夫よ。」
焦燥した様子のチョッパーに花子は微笑みかける。何故、そんなに落ち着いているのかと首を傾げていると、腕を伸ばしたルフィの手が柵を掴み物凄い勢いで飛び込んできた。
「「ぐはぁっ?!」」
「よっと!ただいま!」
「ほらね。」
「お…おぉ…。」
巻き込まれたらサンジとウソップは甲板に転がり問題の元凶であるルフィは笑顔で立ち上がる。こうなる事が分かっていたから避難していたのかと、チョッパーは心の中で花子に感謝した。
「いやぁ〜!参った、参った〜!」
「このっクソゴムっ…!何しやがるっ!?」
「あ、悪ぃ。」
悪びれる様子の無いルフィをサンジが蹴り倒していると、伸びていたウソップがふと口を開いた。
「なぁ、ルフィ。お前と一緒にいた奴は誰なんだ?」
「あぁ、俺の兄ちゃんだ!」