第12章 ナノハナ
花子のお陰で食糧難から脱せられた麦わらの一味。部屋で海図を描いているナミの元にビビが慌てた様子で入って来た。
「ナミさん!正面に何かあるわ!」
彼女の様子に首を傾げるも甲板に出てみると海面から湯気の様な蒸気が立ち込めていた。
「あの下には海底火山があるのよ。」
「海底なのに火山なのか?」
「そうよ。火山なんてむしろ地上より海底の方に沢山あるんだから。」
このまま進んでも問題ないと言うナミに対し初めて見る光景に全員は驚く。そんな彼等の反応が面白いのかナミは顔を綻ばせた。
「ぅわっぷっ?!」
「あちぃ〜…!」
蒸気の中に突入するとむわりと蒸し暑い空気が船を覆い尽くす。視界が晴れ釣りをしていたルフィとウソップから驚愕の声が聞こえてきた。
「「オカマが釣れたぁー?!」」
ーーーーーー
医務室の椅子にユラを座らせた花子はDr.くれはから貰った袋を取り出す。その中には小さな錠剤が入っており、ユラは不思議そうにそれを見つめる。
「それなぁに?」
「ユラの痣を消すお薬よ、Dr.くれはから頂いたの。」
薬と聞きユラは顔を顰めるが飲む様に促され嫌々ながら薬を口に放り込んだ。
「っ〜!にがい〜…!」
「偉い、偉い。はい、ジュースよ。」
舌に残る苦味を掻き消す様に渡されたジュースを一気に飲み干すユラの頭を花子は優しく撫でるがその表情は晴れない。
ーあんたも覚悟はしとくんだね。ー
ー…覚悟?ー
ー珀鉛病に犯された患者は短命だ。あの小娘も…どこまで持つか。ー
珀鉛病を発症した者は必ず命を落とす。何故、ユラがそんな目に合わなければならないのかと花子はきゅっと唇を噛んだ。
「おかあさん?」
「…何でも無いわ。」
(必ず…ユラを治す方法を見つけてみせる。)
きょとんと小首を傾げるユラに笑顔を向けた時、外からルフィとウソップの奇声が聞こえた。
((オカマが釣れたぁー?!))
(おかま?)
(何かしら、行ってみましょう。)
(うん!ねぇ、抱っこぉ〜!)