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海賊王の懐刀

第12章 ナノハナ


「はぁ…仕方無いわね…。」

「花子さん?」

重い溜息を漏らし船の柵に向かう花子にナミが首を傾げる。力を込める様に手を合わせた彼女の掌から野球ボール程の球体が現れた。

「なっ何?!」

「おぉ〜!?何だ、それっ!?」

螺旋状に回転するそれを目にし一味は驚愕したり目を輝かせたりと反応は様々だった。そんな彼等をよそに花子は作り出した球体を海の中に投げ入れた。

「突然、竜巻がっ?!」

「!見てっ!?」

海水を巻き込み立ち上がる竜巻の中には無数の魚の影。それは竜巻が止むと共に重力に従ってビチビチと甲板に落下する。

「ほら、何してるの。早くキッチンに持って行って。」

「あ…あぁ。花子さん、今のは…?」

「花子さんは能力者なの?」

パンパンと手を叩き打ち上げられた魚を拾う様に促す花子にルフィとユラ以外の者達は動揺を隠せずにいた。

「花子は能力者じゃねぇけど、凄ぇ技使うんだ!」

「能力者じゃない?」

「よく知らねぇけど!」

これで餓死せずに済むと呑気に笑うルフィに花子は無言で近付くと彼の頭に拳を叩き付けた。

「いってぇー?!」

「元はと言えばルフィが食糧食べてしまったのが原因でしょ。」

「俺だけじゃねぇだろっ…!?」

「…そうだったわね。」

「「「?!」」」

頭を抱えのた打ち回るルフィの言葉に花子がスッと細めた目をウソップ達に移す。にっこりとした微笑みを向けられた3人は蛇に睨まれた蛙の如くその場から動けずにいた。

「あなた達も…ここに座りなさい。」

魚の移動はサンジとゾロに任せる事にし4人を甲板に正座させた花子の説教はそれから2時間続いた。

「ねぇ、ユラ。結局、花子さんのあの能力は何なの?」

「ん〜…わかんない!」

にばぁっと屈託の無い笑顔で答えるユラにナミは肩を落とす。本当は詳しく知りたいが今の彼女に声を掛けたら自分も飛び火しそうなので、ナミは今度ゆっくり聞く事にした。


(ごべんなざい、もうしません…!)

(…本当に分かってるの?)

(花子〜…悪かったよぉ〜…。)うるうる

(…。)くっ…

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