第11章 ドラム王国
花子 side
B.Wの刺客に襲われる事もなく私達は順調に"アラバスタ"に向かっている。
「ん〜…。」
「すぅ…。」
「ふふっ、可愛い。」
船尾に座り私の膝に頭を乗せ眠っているユラとチョッパーに顔が綻ぶ。私を呼ぶルフィの声が聞こえるけど今度構ってあげる事にしましょう。
「何だ、ここにいたのか。」
「ゾロ君。」
大きなダンベルを片手にゾロ君が現れた。こんな穏やかな陽気の中鍛錬なんて精が出るわね。
「ルフィが呼んでたぞ。」
「ええ、でも今は先約がいるの。」
気持ちよさそうに眠っている2人の頭を撫でていたらゾロ君がダンベルを床に置き私の隣に腰掛けた。
「…。」
「鍛錬しないの?」
鍛錬を始める様子もなくじっと2人を見つめる彼に首を傾げる。余りの可愛さに眺めていたくなったのかしら?
「ゾロく「なぁ…それ止めねぇか?」
徐ろに口を開いたゾロ君にまた私は首を傾げる。それって…何の事?
「それって?」
「そのゾロ君ってやつだ、ルフィは呼び捨てだろ。」
あらあら、どうしたいのかしら?少し恥ずかしそうに首の後ろに手を置きながら顔を逸らすゾロ君に目を丸くする。
「サンジ君やウソップ君には付けてるわよ?」
「あいつ等はいいんだよ。…君付けなんてむず痒くて仕方ねぇ。」
ムッと顔を顰めているゾロ君に思わず笑みが溢れる。ルフィは昔から知っているから呼び捨てで深い意味は無かったけど、どうやら彼のお気に召さなかったみたいね。
「ふふっ、分かったわ。…ゾロ。」
「っ。」
少し拗ねた様子のゾロが可愛くてからかう様に名前を呼ぶと、私の唇に柔らかい感触が伝わってきた。
「なっ…?!」
「…俺も寝る。」
ちゅっとリップ音と共に唇が離され固まる私をよそにゾロは私の肩に頭を預けると目を閉じた。
「えっ…ちょっ、ゾロ?!」
「ぐがぁ〜…。」
「寝るの早っ?!」
慌てる私をよそにゾロは大きな鼾を立て眠りに着いた。理解不能な彼の行動に私の頭は混乱状態だ。
「んがぁ〜…。」
「…本当に、何なのよ。」
気持ちよさそうに眠るゾロを起こすのも憚れるし熱くなった頬を冷ます様に私は大きく深呼吸をした。
(花子〜、ここかぁ〜?)
(…ルフィ。)
(ん?あぁー!おめぇ等、ズリぃぞー!)俺も!
(…あなたはそのままでいてね。)