第11章 ドラム王国
海賊になる決心をしたチョッパーはDr.くれはに報告をしに行ったが、彼女はそれを許さず包丁を持ちチョッパーを追い回した。許してくれないのなら強行突破しかないと彼はソリにルフィ達を乗せ城を飛び出した。
「お前なんかが海へ出て一体何が出来るって言うんだい!あのヤブ医者のように幻想に生きるのかい!?」
「違う!幻想じゃないよ…!ドクターの研究は完成してたんだ!!」
ドラムロックを下るチョッパーに向かってDr.くれはの怒号が響く。最後にこんな別れ方をしてしまった事を後悔しているのかチョッパーは顔を俯かせている。
「これは…。」
ふと空から落ちる雪がピンク色に染まる。チョッパーの目に飛び込んだのはドラムロックを幹に見立てた巨大な桜の木だった。舞い散るピンクの花弁は言葉を忘れるほど美しかった。
ーこれが俺が30年かけて出した答えだ!ー
ー行っといで…馬鹿息子。ー
まるで、彼の門出を祝う様に咲き乱れる桜にチョッパーは涙を流す。ヒルルクの思いが…ドクトリーヌの思いが…自分はこんなにも愛されてたんだと…。
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無事、"ドラム王国"を出発したメリー号は最速で"アラバスタ"を目指す。チョッパーが医者である事を知らなかったルフィにナミは呆れた顔で口を開く。
「何だと思って乗せたのよ?」
「七段変形面白トナカイ。」
「非常食。」
さも当然の様に真顔で答えるルフィとサンジ。身の危険を感じたのかチョッパーはビクリと大きく身体を跳ねさせ花子の後ろに隠れた。
「まあ、取り敢えず新しい仲間が増えたんだ!宴だぁー!」
新たな仲間を祝してメリー号では宴が開かれた。チョッパーはルフィから教わった鼻に割り箸を突っ込みどじょう掬いをする宴会芸が大層気に入った様子。
「チョッパー、おもしろい!ユラも「お願いだからそれだけは止めて。」
きゃっきゃっと笑いながら同じ事をしようとするユラを花子が必死で止める。残念そうにするユラに頭を抱える彼女の元にチョッパーが近付いて来た。
「花子、俺…。」
「ん?」
「こんなに楽しいの初めてだ!」
「…良かったわね。」
その顔はどうかと思うが楽しそうに顔を綻ばせるチョッパーに花子も笑顔で答え、優しく彼の頭を撫でた。