第11章 ドラム王国
すっかり回復したルフィは仲間になれとチョッパーを追い回している。
「おーい!トナカーイ!一緒に海賊やろー!」
「だって俺は…トナカイだ!角だってあるし、蹄だってあるし、青っ鼻だし…!そりゃ海賊にはなりたいけどさ…。」
自分は化け物だから…人間では無いから仲間にはなれない。外の世界に興味はあるがどうしても一歩が踏み出せずにいた。
「あら、珍しくルフィが手を焼いてるわね。」
「おかあさん!」
押し問答している2人を見つめ現れた花子に雪遊びをしていたユラが顔を上げる。彼女の側には小さな雪だるまが沢山作られていた。
「ゾロ君に遊んでもらったの?」
「うん!見て!皆の雪だるまつくったの!」
珍しい組み合わせだと思いながら説明をするユラに微笑み花子は麦わらの一味を表した雪だるまに目を向ける。その中には2本の角が生えた小さな雪だるまもあった。
「それでね、これがユラとおかあさんなの!」
最後に紹介された少し大きな雪だるまと小さな雪だるま。その2つは仲良く寄り添っており、花子は苦しくなる胸を誤魔化す様にきゅっと唇を噛んだ。
「…何かあったのか?」
「え…?」
2人の様子を眺めていたゾロが彼女に声をかける。不意に頬に手を添えられ花子は驚いた様に目を丸くする。
「少し赤くなってる。」
「…寒いから霜焼けになっちゃったのかも。」
そっと親指で撫でられた彼女の目元は少し赤みが差していた。泣いた事を気付かれぬ様花子はパッと顔を逸した目元を隠す。
「俺は"人間"の仲間でもないんだぞ!バケモノだし!俺なんかお前等の仲間にはなれねぇよ!…だから礼を言いに来たんだ!誘ってくれて、ありがとう…。」
何度も仲間になれと言うルフィに対しチョッパーの声が響く。仲間にはなれないが自分を受け入れてくれた事にお礼が言いたいと。しかし、ルフィの答えは1つだけ。
「うるせぇ!行こうっ!」
「うるせぇって、勧誘があるかよ…。」
「ルフィらしくていいじゃない。」
無茶苦茶な勧誘ではあるがその真っ直ぐな言葉にチョッパーは目に涙を浮かべ答える様に雄叫びを上げた。
(うるせー!いこー!)
(?!ユラ!女の子がそんな言葉使っちゃ駄目よ!)
(?おかあさんもキンジに言ってるよ?)
(ぐっ…。)