第11章 ドラム王国
海賊旗を掴み自分を睨み付けるルフィにワルポが砲口を向ける。このままでは被弾してしまうが彼はその場から動こうとしない。
「お前なんかに折れるもんか!このドクロマークは…!」
「危ない!避けろ!」
「【信念】の象徴なんだぞっ!!」
ワルポが放った砲弾がルフィに直撃する。黒煙が立ち上る中、ルフィはしっかりと海賊旗を掴み立っていた。
「ほら、折れねぇよ。」
海賊旗は信念の象徴。幼い頃から海賊を夢見ていたルフィだからこそ、このドクロマークの意味を知っていた。
「これは命を誓う旗だから冗談で立ってるわけじゃねぇんだ!お前なんかが、へらへら笑ってへし折っていい旗じゃないんだぞ!」
「ひぃっ?!」
鋭い眼光で睨み付けるルフィにワルポ達は恐れ慄く。彼の気迫に圧倒されたのはチョッパーも同じだった。
(海賊…凄ぇっ!)
「俺は今からこいつ等をぶっ飛ばす。お前はどうする?」
被弾により根元が焼けた海賊を屋根に突き立てルフィがチョッパーに尋ねる。自分はどうしたいのか…戸惑うチョッパーをよそにワルポが作り出した"チェスリーモ"がドクトリーヌに狙いを定める。
「俺はっ…仲間なんかいなくったって俺は戦えるんだ!ドクターの旗がある限り…!」
「仲間ならいるさ!俺が仲間だー!!」
ーーーーーー
ルフィとチョッパーが交戦している最中、花子がにっこりと微笑みサンジに近付いて行く。
「あら、ルフィ君に良いとこ持ってかれちゃったわ。」
「何言ってるんだ、ずっと見てただろ?」
残念そうに呟く花子にサンジは可笑しそうに答える。自分が水を差すわけにはいかないと戯けて見せる彼女に、困った人だとサンジが肩をすくめた。
「おかあさん、チョッパー仲間になってくれるかな?」
「…そおね。」
ワルポを倒し天を仰ぎ立ち竦むチョッパーを見つめ花子は目を細める。彼は今何を思っているのか。
「なってくれると…いいわね。」
自分の話を目を輝かせているチョッパーを思い出し、花子は小さなその背中を見つめていた。
(チョッパー!)ぎゅうっ
(うおっ?!ユラ、どうしたんだ?)
(…くっ!)尊い…
(…花子さん?)壊れた?