第11章 ドラム王国
チョッパー side
あいつ等…おかしい…。俺なんかに一緒に来ないかって誘ってくれたし。俺の事が怖くねぇのか?
(外に出てみたい…でも…やっぱり怖い…。)
また、仲間外れにされるのが…気持ち悪がられるのが…。さっきの女の言葉を思い出しながら塀に座り景色を眺めていると、ドンッと背中に衝撃が走った。
「チョッパー!みぃっけっ!」
「?!お前…。」
驚き後ろを振り返ればさっきの人間の子供が嬉しそうに抱き着いていた。確か…名前は…。
「ユラ、いきなり飛び付いたらチョッパー君ビックリしちゃうでしょ?」
そうだ、ユラだ。俺の身体に頬擦りしているユラにさっきいたもう1人の女が困った様に笑いながら近付いて来た。
「自己紹介が遅れたわね、私は花子よ。」
「ユラのおかあさんだよ!」
俺から離れ抱き着くユラに花子は微笑みかけていた。その顔が凄ぇ優しくて俺の胸がギュッと苦しくなる。
「…ユラは…花子の事が好きなんだな。」
「うん!ユラ、おかあさん大好きっ!」
「ふふっ、私も大好きよ。」
ユラを抱き締める花子はユラの事を本当に大事にしている事が分かる。それが羨ましくて苦しくなる胸を誤魔化す様に俯くと突然身体がふわりと浮いた。
「よいしょっと。」
「なっ…何してんだよっ?!」
俺とユラを抱え塀に座る花子に戸惑いを隠しきれなかった。そんな俺をよそに花子は素知らぬ顔で俺を抱える腕に力を込める。
「私はチョッパー君の事好きよ。」
「なっ何言ってんだよ!俺なんかトナカイの癖に2本足で立ってるし…!」
「凄く器用なのね。」
「人の言葉喋るし…!」
「チョッパーの気持ちが分かるから嬉しいわ。」
「…青っ鼻だし。」
「赤鼻の人間だっているのよ?」
何だよっ…何なんだよっ!俺はっ皆に嫌われてた。化け物だって…なのに花子は全部良いところだって優しく笑いかけてくれた。
「それにチョッパーがいなかったらナミは助からなかった。あなたがいてくれて本当に良かったわ。」
「っ〜!」
溢れてしまいそうになる涙を気付かれたくなくて花子の胸に顔を埋めたら優しく抱き締めてくれた。
「ユラもチョッパー、大好きっ!」
ドクター…人間ってこんなに温かいんだな…。