第11章 ドラム王国
ルフィ side
(医者…医者…医者…。)
ナミとサンジを抱えて俺は医者のいる山のてっぺんを目指し崖を登っている。
「ナミっ…待ってろっ…!もうすぐ医者のとこに連れてってやるからなっ…!」
熱が上がっちまったのか服からでも分かるぐらいナミの身体が熱い…。早く…早く医者に診せねぇとっ…!
(約束したんだっ…!ナミを治して皆で"アラバスタ"に向かうってっ…!)
本当は直ぐにでも国に帰りてぇ筈なのに…ビビはナミを治して"アラバスタ"に向かうのが、最高速度だと言ってくれた。
(ちっきしょうっ…!)
手ぇ痛ぇし、風強ぇし、サンジは重ぇし…。でも、こんな所で立ち止まってる暇はねぇっ!
「…フィっ…!」
(…誰だ?)
誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた…温かくて…優しい…俺の大好きな声…。
「ルフィっ!」
(花子…?)
あったけぇ温もりが俺を包み込む。目だけを向ければ泣きそうな顔をした花子がいた。
ーーーーーー
ルフィ達を乗せ花子達はドラムロッキーの頂上に辿り着いた。
「綺麗な城だ…そうだっ医者っ!」
「ルフィっ!」
目の前には立派な城が佇み、その美しさにぼぉっと見つめていたルフィが身体を起こす。しかし、冷えた身体は思う様に動かなかったのか朱雀の背中から転がり落ちてしまった。
「お前さんは…。」
震えるルフィを花子が抱き起こしていると少し掠れた声が聞こえ目を向けると、そこには臍を出した何とも寒そうな格好をした妙齢の女とトナカイの姿。
「うぅっ…!」
「急患なんですっ!お願いしますっ…助けてください。」
「ダカバ…ダンダヨ…。」
震えるルフィを抱き締め懇願する花子と寒さの余りガタガタと歯を鳴らすルフィを女は無言で見つめる。彼の手は血塗れになり霜焼けも酷い。
(…あの絶壁を登って来たのか。)
2人の背後にはグッタリとして衰弱しているナミの姿。全てを察した彼女はくるりと振り返り口を開く。
「分かったよ、助ける。チョッパー!治療だ!」
これでナミが助かる。ホッと安堵したルフィは緊張の糸が切れたのか花子に身体を預けた。
「よかっ…た…。」
安心と疲れから目を閉じ眠りに着いたルフィを花子はそっと微笑み抱き締めた。
「よく…頑張ったわね…。」