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海賊王の懐刀

第11章 ドラム王国


ルフィ達を追って飛び出した花子だったが一面白銀の世界が広がり彼等の姿は何処にも見当たらない。

「ルフィ〜!ナミ~!サンジ〜!」

「ルフィ…何処にいるの…。」

『この雪だ、人間の足ならそう遠くへは行っていない筈だが。』

降り積もる雪にルフィ達の足跡は消されてしまい3人がどちらの方に行ったかも検討が付かず途方に暮れていると、地鳴りの様な大きな音が辺りに響き渡る。

「?!何っ?!」

振り返り花子が見つめる先には津波の様に全てを飲み込んでしまいそうな程の雪崩が迫っていた。

「っ、朱雀っ!」

『承知!』

朱雀の背に乗り花子達は雪崩に巻き込まれる事は無かった。勢い良く流れる雪を上空から眺めているユラは初めての光景に驚愕している。

「おかあさん、これはなぁに?」

「雪崩って言って斜面に積もった雪が重力の作用により下方に滑り落ちる現象の事よ。」

「波みたいだね!」

「そうね。でも巻き込まれたら危ないから絶対に近付いちゃ駄目よ?」

雪崩が落ち着いたのを確認し雪の上に降り立った花子は素早く印を結んだ。

「ルフィ達を探して。」

『『分かったわ。』』

2体の分身を出した花子はルフィ達を探す様に伝え素早く姿を消した分身達を見送り覇気で辺りを探る。

(ルフィ達の気配はない…もう山を登っているのかしら。)

あの規模の雪崩に巻き込まれたらいくらルフィでも無事では済まない。焦る気持ちを押え冷静に周りを伺う花子にユラが声をかける。

「おかあさん!あっちから声が聞こえる!」

「声?」

誰のものか分からないが助けを呼ぶ声が聞こえたらしい。ユラを抱え彼女の指差す方に向かうと、ドルトンが話していた"ドラム王国"に生息する兎の一種、ラパーンとカバの様な風貌の男と数名の姿が目に入る。

「声が聞こえたのはあそこ?」

「うん!」

よく見れば成体のラパーンが彼等にやられているのが見えた。その傍らには子供の姿も確認でき花子はユラを下ろすと彼等の元に駆け出して行く。

「生き物には優しくしなさい!」

「どわあぁー?!」

「「ワルポ様ぁー?!」」

花子が生み出した竜巻によりカバ男は何処かへ飛んで行ってしまった。彼を追いかける男達を尻目に花子は傷付いたラパーンの手当を始める。

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