第11章 ドラム王国
「島だ!島が見えたぞーっ!」
ルフィの声が船内に響き渡る。花子はベッドに横たわるナミの額を拭いならが優しく声をかけた。
「ナミ、もう少しの辛抱よ。」
呼吸は荒くグッタリとしているナミは花子に向かって力無く微笑んだ。その時、外から銃声が聞こえ何事かと花子は慌てて部屋を飛び出した。
「何があったの?!」
甲板に出た花子の目に飛び込んできたのは銃を構える島民と土下座をしているビビとルフィの姿。2人の様子に島民は銃を下ろす。
「ねっ!分かってくれたでしょ?」
「うん、お前凄ぇな。」
土下座をしたままビビがルフィに笑顔を向けると、彼は感心した様に頷く。何が何だか理解出来ていない花子はサンジに声をかける。
「どうしたの?」
「いや、ビビちゃんが凄ぇって事さ。」
煙草を咥え微笑む彼の様子に花子は不思議そうに首を傾げた。
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自宅のベットを貸してくれた"ドラム島"民間護衛団長のドルトンはこの島の医者である1人の魔女の事を話す。その魔女は気まぐれに村に降りて来ては患者を探し強制的に処置しては、報酬としてその家にある物をありったけ奪って帰って行く。彼女の気分次第の為、急患だからと言って来てはくれないそうだ。村から見える垂直の山"ドラムロッキー"。その頂上に魔女は住んでいる。
「あの山登んねぇと医者がいねぇんだ、山登るぞ。」
断崖絶壁の山を登るのは困難だろうがそこに向かわなければナミを治す事は出来ない。山に登る事をナミに説明すると彼女はにっこりと微笑みルフィに頷いた。
「その魔女の名は"Dr.くれは"だ。」
「Dr.くれは?!」
「花子、知ってんのか?」
「え…えぇ。」
魔女の名を聞いた花子は驚いた様に声を上げる。
(Dr.くれは…その知識は豊富で治せない病気はないとまで言われている名医…。)
彼女ならユラの病気を治す方法を知っているかもしれないと、花子は神妙な面持ちで黙り込んだ。
(んじゃ、行くか!サンジ!ナミが死ぬ前に!)
(縁起でもねぇ事言うんじゃねぇ!)
(ルフィ、ナミを落とすなよ!)
(気を付けてね!)