第11章 ドラム王国
甲板に出たナミは壁に寄りかかり空を眺めているゾロに進路はどうなっているかを尋ねる。空に浮かんでいる1つの雲を指差しあれに向かって進んでいるから大丈夫だと答える彼に頭を抱えた。
「雲は流れるし形も変わるっ…!何やってんのよっ!」
「そうなのか?」
朱雀に乗り医者のいる島までナミを連れて行こうかと思った花子だったが、この現状で航海士であるナミを船から離すのは自殺行為に等しいと考えを改めた。
「皆にお願いがあるの。乗せてもらっておいてこんな事を言うのも何だけど。今、私の国は大変な事態に陥っていて兎に角、先を急ぎたい。だから、この船を最高速度で"アラバスタ"へ進めてほしいの!」
ナミ達を追って甲板に出たビビの願いに顔が険しくなる。彼女の事を思うと一刻も早く母国に向かいたい気持ちも分かる。しかし、重症のナミをこのままにはしておけない。
「当然よ!約束したじゃない!」
「だったら、すぐに医者のいる島を探しましょう!」
ナミを治療して"アラバスタ"へ向かう。それが、この船の【最高速度】だと笑顔を見せるビビに全員は笑顔で答えた。
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医者を探す為、進路変更をしたメリー号は雪が舞い散る海域に差し掛かった。気温は一層冷え込み花子は追加の毛布をナミにそっとかける。
「花子さん…進路は…?」
「大丈夫よ、定期的に確認してるから。」
額を冷たいタオルで拭いながら答える花子にナミは安心したように顔を和らげる。
「…昔ね…風邪を引いた時、ベルメールさんがこうやって看病してくれたの。」
風邪をひくと心細くなると言うが、寂しそうに眉を下げるナミの頭を花子は優しく撫でる。
「少し眠りなさい、側にいるから。」
「うん…ねぇ、手を握って…。」
甘える様に差し出された手を花子はそっと握り返す。顔を綻ばせナミは安心したように眠りについた。
(ナミー!冷たい水だ!これ浴びれば涼しくなるぞ!)
(ナミさん!大丈夫!?俺が身体を拭いてあげようか!?)
(…ルフィ、サンジ君。)
(何だっ!?/はいっ!)
(煩くするなら出ていきなさい。)後、水は置いてって