第11章 ドラム王国
最速で"アラバスタ"に向かう為、花子はキンジから得た情報をナミに話した。彼女も新聞で確認した為、花子と同じ事を思っていた様だ。
「…ナミ、顔が赤いわよ。大丈夫?」
「そう?…確かに少し身体がダルいかも。」
頬を赤くしぼぉっと目が虚ろなナミの額に花子は自分の額を当て熱を測る。
「…熱いわね。」
「これぐらい平気よ。」
「風邪のひき始めかもしれないわ。少し休みない、身体に良いもの持って来るから。」
「ありがとう…。」
ダルそうに机に俯せるナミの頭を撫で花子は必要な物を頭の中でリストアップしながらキッチンへと向かった。
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キッチンの扉を開け中に入ると丁度サンジが夕食の献立を考えていた。花子の姿を確認した彼はパッと顔を綻ばせ立ち上がる。
「花子さん!どうしたんだ?何かいる?」
「大丈夫よ。ナミが少し調子が悪そうだから何か身体にいい物を作ろうと思って。」
「えぇっ?!ナミさん大丈夫なのか!?」
崇拝してやまないナミのピンチと聞きサンジが黙っている筈がない。何か手伝う事は無いかと申し出る彼に花子は笑顔で答える。
「それじゃあ、温かい飲み物を作ってくれる?私は薬湯を作るから。」
「任せてくれ!栄養満点の最高な物を作るぜ!」
キッチンに立った2人は早速作業に取り掛かる。下拵えをしているサンジはふと隣にいる花子に目を向けた。
「よく料理はしてたの?」
「人並みにはね。…でも、ユラと出会ってから随分変わったわ。」
ユラと出会う前まで花子は料理など生きる為の作業としてしか思っていなかった。しかし、ユラが美味しいと花の咲いた様な笑顔を見る度にもっと美味しい物を食べさせたいと思う様になった。
「…ユラちゃんが、羨ましいな。」
寂しそうにポツリとサンジが呟く。親の愛情等殆ど受けた事が無かった彼にとって、こんなにも愛情を注いでくれる人がいるユラの事を羨ましく思った。
「サンジ君さえ良ければ今度とびっきりの物を作るわ。」
「っ!楽しみにしてるよ。」
不意に頭を撫でられる感覚に驚き顔を上げれば柔らかく微笑む花子の顔。自分の為に何かをしてくれる人がいるんだと、サンジはきゅっと苦しくなる胸を押え嬉しそうに顔を綻ばせた。