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海賊王の懐刀

第10章 リトルガーデン


突然現れた怪物にナミが舵を切る様に言うが誰も動こうとしない。あのウソップでさえ震える身体を抑えながら叫ぶ。

「だ、駄目だ!真っ直ぐ進む!そうだろ、ルフィ?」

「うん!勿論だ!」

「えぇ?!ちょっと!」

大きな口を開けメリー号を飲み込もうとする怪物にナミは涙を流し狼狽える。パクリと怪物金魚がメリー号を丸呑みにした時、ドリーとブロギーは巨大な身体一杯に渾身の力を込めた。

「我等に突き通せぬものは、"血に染まるヘビ"のみよ。」

「エルバフに伝わる巨人族最強の"槍"を見よ!」

彼等の思いが届いているかの様にルフィが叫ぶ。真っ直ぐ、真っ直ぐ…何があっても突き進めと。

「「"覇国"!!」」

2人が海に向かって大きく武器を振り被った瞬間、海をも両断する程の衝撃波と共に怪物金魚の腹に風穴が開いた。

「でけぇ!なんて、でけぇんだ!!」

腹の穴から飛び出し着水した麦わらの一味はその圧倒的な力…偉大さに身体を震わせる。これが…巨人の…エルバフの戦士の力なのだと。

「「さぁ!行けぇ!!」」

ボロボロになり使い物にならなくなった武器を掲げ偉大なるエルバフの2人の戦士は友を見送った。

ーーーーーー

ぷるっがちゃっ

《アイア〜イ!こちら愛しの「ねぇねぇ、キンジ!聞いてっ!」

《おおうっ…どないしたんや?ユラ。》

ユラはこの感動を誰かに伝えたいのか食い気味に先程の出来事をキンジに話す。

「それでねっ!バーンてなって大きな金魚さんのお腹がドカーンてなって凄かったんだよっ!」

《…何やよぉ分からんけど楽しそうで何よりや。》

興奮冷めあらぬのかほぼ擬音語で内容が入って来ないが楽しそうな様子のユラにキンジは声を和らげる。

《あっ、そや。ユラ、そこに花子はんはおるか?》

「うん、いるよ!」

まだ気持ちが高ぶっているのか部屋を飛び出したユラを見送り花子はキンジに声をかけた。

「どうかしたの?」

《ちょっと耳に入れといて欲しい事があんねん。》

真剣なキンジの声色に花子の表情も堅くなる。彼から伝えられた内容は、"アラバスタ"の国王軍30万人が反乱軍に寝返り形勢が反乱軍の優勢となってしまった事だった。

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