第10章 リトルガーデン
突然の水柱にルフィ達は驚愕する。大量の水により鎮火されたキャンドルケーキはドロドロに溶けその中からユラを抱えた花子が現れた。
「っ…はぁっ…!ユラ、大丈夫?」
「ケホッ…!ぅん、大丈夫…!」
「花子さん、ユラ!良かった!」
「さっきの水柱は何だ?!」
2人の姿を確認したルフィ達は笑顔で駆け寄る。先程の奇妙な現象は気になるが取り敢えずは2人が無事だったと言う事で安心している様子だ。
「皆も無事で良かったわ。」
「「「…。」」」
ユラを庇ったからか彼女の服もナミ同様燃えて上半身は下着のみとなっている。加えて水に濡れた髪を掻き上げる姿は何処が色気が漂っており、ルフィ以外の者は言葉を失う。
「どうしたの?」
「あぁ〜…いや…。」
ドギマギしている様子に花子は首を傾げる。変に気にしたら駄目だと気持ちを切り替えたナミが何かに気付き口を開く。
「花子さん、それ。」
「ん?…あぁ、これね。」
花子の左胸には見た事の無いジョリーロジャーが刻まれており、ナミは不思議そうに眺めていた。
「これは…あの人…ロジャーがくれたの。」
「自分のマークじゃなくて?」
「えぇ、私専用なんだって。」
ーお前にはこっちの方が似合うだろ。ー
得意気に笑うロジャーを見た時花子は誓った。自分を自由にしてくれた、色んな物を与えてくれた彼に…。
(私の全てを捧げようと…。)
ーーーーーー
「おおぉーっ!うおぉおぉぉーっ!!」
再び平和が訪れた"リトルガーデン"にけたたましい泣き声が響き渡る。巨人ブロギーは滝の様な涙を流し天を仰ぐ。
「うう…!分かるぜ、ブロギー師匠…!」
「親友が亡くなったなんて…悲しいわ…。」
彼の傍らには倒れている巨人ドリー。100年間も戦い続けてきた大切な戦友を失ったブロギーの悲しみは計り知れないだろう。これから彼はこの島で独りぼっちなってしまうのかと、眉を下げるルフィ達をよそに倒れていたドリーがムクリと起き上がった。
「「「えぇー?!」」」
「お、お前…生きてたのか?」
「あぁ…気絶していたようだ。」
どうやら彼を貫いた武器は100年間使い続けた事で刃こぼれをおこし致命傷には至らなかった。親友が生きていた事を喜びブロギーはドリーの傷に響かぬ様、きつく彼を抱き締めた。