第10章 リトルガーデン
Mr.3を睨み付ける花子に誰もが言葉を失った。いつもは穏やかな彼女とは比べもにのならない程、花子が纏う空気が張り詰めていた。
「…よく見れば、お前…ボスが言っていた女だガネ。」
「…。」
「ボスも何故お前の様な女を欲するのか…。取り敢えず、お前は俺と一緒に来てもら…っ?!」
「誰が口を開いて良いと言ったの。」
冷たい視線の花子が口を開いたと同時にMr.3の【3】と整えられているちょん髷かポトリと地面に落ちた。
「俺の芸術的な素晴らしい髪型をよくもっ!?」
「煩いわね、そんな事より早くユラをこの悪趣味な物から開放して。」
(((俺/私達は…?)))
自慢の髪型を切り落とされ怒り狂うMr.3に花子は鬱陶しそうに顔を歪める。早くユラを開放しろと言う花子にMr.3はニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
「後少しで俺の最高な美術が完成するガネ!邪魔する奴等は皆俺の最高傑作の1部にしてやるガネ!」
「…そう。」
「?!消えたっ?!」
高笑いを上げ叫ぶMr.3を見つめスッと花子の目が冷たくなる。その瞬間、彼女の姿が消えた。
「じゃあ…あなたにもう用はないわ。」
「ぶほぉっ?!」
「速ぇっ!?」
「あの一瞬でっ?!」
突然、目の前に現れた花子によりMr.3は遥か彼方に殴り飛ばされた。花子とMr.3との間には距離があったが、あの一瞬で間合いを詰めた彼女の速さに誰も追い付けずにいた。
「…さてと。邪魔者はいなくなった事だし後は…っ?!」
「花子さんっ!?」
汚い物を払うように手を振る花子はゾロ達が拘束されているキャンドルケーキに目を向けた。しかし、彼女の行動を邪魔する様に伸ばされた拳が襲いかかる。
「…どういう事?…ルフィ。」
「…悪ぃ。」
寸でのところで躱し攻撃してきた人物を花子は困惑する。何故なら彼女を攻撃したのは仲間である筈のルフィだった。
「…俺…お前等を助けたくねぇ。」
「…"カラーズトラップ"。」
動揺を隠しきれずにいるルフィの背後でバリッとせんべいに齧り付いたMs.ゴールデンウィークがポツリと呟いた。