第10章 リトルガーデン
新たに差し向けられたB.Wの刺客はMr.3とMs.ゴールデンウィーク。Mr.3は器用に【3】とセットされたちょん髷と言う巫山戯た髪型とは裏腹に、"ドルドル"の実の能力者。ゾロ達が拘束されている巨大なキャンドルケーキも彼の能力によって作り出された物だった。
「おっさんまだ動けるだろ?その両手両足ぶっ千切りゃ、死人よりは役に立つ筈だ。俺も動ける。足斬り落しゃあな。一緒にこいつ等潰さねぇか?」
「あんた、何言ってんのよ?!」
無茶苦茶な事を言い出すゾロにナミが驚愕の声を上げるが彼の目は本気だった。巨人も彼の提案に乗るのかニヤリと笑い、ゾロはまだ自由な手で刀を抜いた。
「ユラっ!」
「おかあさんっ…!」
刀がゾロの両足を貫いた時、ジャングルから花子が飛び出してきた。ユラの姿を目にした彼女はハッと息を飲み顔を歪める。
「何だガネ?お前は。」
「…あの女は。」
「花子さん!助けてっ!」
「…あなた達っ…。」
突然の花子の登場にMr.3は訝しげな顔で彼女を見つめ、ナミは安堵した表情を浮かべ助けを求めるが、わなわなと震え花子から醸し出される空気にゴクリと唾を飲み込む。
「うちの子にっ…何て事してるのよっ!」
「「「?!」」」
カッと怒りを露にした花子から放たれた覇王色の覇気。彼女から発せられた強烈な威圧にB.Wの幹部達は吹き飛ばされた。
「ぐっ…?!」
「な…に…?!これっ…!?」
ゾロ達に当たらない様に加減はしたものの肌を刺す様なビリビリとした覇気に、ゾロは顔を歪めナミとビビは力無く崩れ落ちた。
(これがっ…あいつの実力っ…!?)
鷹の目と戦った時の様な圧倒的な力の差。それを目の当たりにしたゾロは悔しそうに唇を噛んだ。
「っ!おい、花子!早くこの蝋を「ユラぁっ!」
「聞けよっ?!」
しかし、今はそんな場合ではない。B.Wの者達が戻ってくる前にここから抜け出さねばと、声をかけるゾロになど目もくれず花子はユラの元に駆け寄った。
「ユラっ、可哀想にっ…!すぐに助けるからね!」
「うわぁあぁんっ!おかあさ〜んっ!」
ユラを抱き締める花子を見つめどうでも良いが自分達の事も忘れてくれるなと、ゾロ達は切実に思った。