第10章 リトルガーデン
ユラ達を笑顔で見送る花子に違和感を感じたのかゾロが彼女に声をかけた。
「何かあったのか?」
「何も無いわよ、ちょっと仕事で報告する事があったの。」
にっこりと微笑む彼女の顔は何処がぎこち無く、訝しげな顔をするもゾロはそれ以上追求する事はせず、興味無さそうに相槌を打つ。
「じゃあ、俺も散歩に行くとするか。」
「おぉ、船降りるなら食材を取ってきてくれ。」
「分かった。おめぇには到底無理な獲物獲ってきてやるよ。」
「あ"ぁ"ん!?」
船から飛び降りジャングルの中に入ろうとしたゾロにサンジが声をかける。普通に頷けばいいものの挑発する様なゾロの発言にまんまと乗ってしまったサンジは、どちらが凄い獲物を獲れるか勝負だとジャングルの中に消えてしまった。
「「…。」」
戦闘要員であるサンジまでいなくなってしまい2人が去って行った方を呆然と見つめるナミとウソップの目がバチリと重なる。
「…頼りない。」
「俺の台詞だ!それは!?」
「花子さんっ!私を見捨てないで!」
頼みの綱であるサンジを失ってしまい縋る様に自分に抱き着くナミの頭を花子は優しく撫でた。
「大丈夫よ、用事が終わるまでここにいるから。」
「いや、下りるなよっ?!」
「私は中にいるから何かあったら声をかけてね。」
にっこりと微笑み船内に向かう花子の背中を見つめ2人は不思議そうに首を傾げた。
「花子の奴、どうしんだ?」
「何かあったのかしら?」
何処がぎこち無い彼女の笑顔に疑問を覚えた時、背後からバキバキと木を掻き分ける様な音が聞こえ、振り返れば大きな目がぎょろりと2人を見下ろしている。
「「ギャァァァァァーっ?!」」
船を覗き込む様にして現れたのは巨人だった。襲って来る様子は無いもののその巨大さに2人は涙を流し悲鳴を上げた。
「お、おいっ?!何だよっ、ありゃあっ?!」
「?!もしかしてっ!?」
狼狽えるウソップをよそにナミは過去に読んだ事がある文献の内容を思い出し顔を青くさせる。
「大変よっ!この島は…!」
【あの住人達にとってまるでこの島は小さな箱の様だ。巨人島"リトルガーデン"。この島をそう呼ぶことにしよう。 探検家ルイ・アーノート】