第10章 リトルガーデン
キンジ side
「せやからぁ〜…ウチはなぁんも知らんてぇ〜…。」
花子はんの事が明るみに出てから海軍からは彼女の情報提供の催促の連絡が引っ切り無しにかかってくる。
「はいはい、何か分かったら連絡しますんで。」
電話口で何やガミガミ言うとるけど知るかいな!大体、ウチが花子はんの不利になる様な事言う訳ないやろっ!
「はぁ〜…花子はんとユラに会いたい…。」
今頃2人は何処におるやろか?"ウイスキーピーク"に向かっとるって言うてたし次は"リトルガーデン"辺りやろか?
ぷるっ
ハッ!この電伝虫はっ!?花子はん専用電伝虫【キンツムちゃん】から着信の声が聞こえウチは飛び付く様に受話器を取った。
「はいはぁい♡花子はん、どないしたん?こんな直ぐに連絡くれるやなんて!ウチが恋しくなったんかぁ〜?」
《キンジ…。》
花子はんからの連絡に心踊らせるも聞こえてくるんは不安そうな声。何や?そんなにウチに会えんくて寂しかったんか?
「どないしたん?元気ないで?」
《実はね…。》
ホンマ…神さんっちゅうんは酷いお人や…。
ーーーーーー
「ここやな…。」
ウチは花子はんから連絡を受けユラが閉じ込められとったちゅう島に辿り着いた。ジャングルの奥に足を進めて行くと開けた場所に出て、花子はんの言うてた通り湖の真ん中に真っ白な祠が鎮座しとった。
ー白い痣…?ー
ーえぇ…痛みは無いみたいなんだけど何かの病気かしら?ー
ユラの身体に出来た白い痣…。見に覚えはあるけどあれはもう失くなった筈や。念の為に口元を布で多いウチは祠に近付いて行く。
「っ?!これはっ…!?」
崩れ落ちた白い欠片を手に取りウチの心臓がドクリと大きく脈打つ。何で…?何で神さんはあの人を苦しめるんやっ…!?
「…珀鉛や。」
ユラが閉じ込められとったこの祠には珀鉛が使われとる。そして、ユラの身体に出来た白い痣…。考えられるんは1つしかない。
「っ!糞っ垂れがっ…!」
なぁ…何で…?何でまたあの人が傷付かないかんのや…?
ーお願いっ…キンジっ…!行かせてっ…!ー
もう…あの人の悲しむ顔は…見たないんや…。