第2章 貴方の宝物
キンジ side
ウチは海賊が嫌いや。海賊がっちゅうよりロジャーがって、言った方が正しいかもしれん。ウチの大事なもん掻っ攫って好き勝手した挙げ句、あろう事が捨てよった!
ーキンジ…私に何かあったら、ルージュを…あの人の子をお願いね。ー
ー…何言うてんねん。ー
ーあの子は…あの人が唯一残した宝だから…。ー
ロジャーが処刑された日に花子はんも姿を消した。あいつの所に行かせてくれと言う花子はんをウチは止める事が出来んかった。
「お前も苦労すんなぁ…。」
「あ~ぅ?」
エースを産んですぐにルージュはんは亡くなった。予定日を1年も遅らせたんや、相当身体に負担かかっとったやろうに…女っちゅうんはホンマ強い生きもんやで。
「安心しぃ…お前の事はウチが守ったる。」
何が楽しいんかきゃっきゃっと笑う赤ん坊に不思議とウチの心は穏やかやった。あいつとそっくりな顔に腹は立つが子供に罪は無い。
(それに…花子はんからも頼まれたしなぁ…。)
大好きなあん人の頼みや。それを聞き入れんかったら男が廃るやろっ!
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ちゅう言うても男手1人で赤ん坊育てんのは骨が折れる。ウチも仕事があるさかい付きっきりでおる事は難しい。どうするか悩んどったらガープはんが訪ねてきた。何でもエースを知り合いの所に預けたいんやと。
「…そいつ信用出来んやろうな?」
「安心せい!口とガラは悪いが信頼出来る奴じゃ!」
いや、そこ1番重要やろ?!せやけど、ウチもどうする事も出来んしガープはんを信用してそいつにエースを預ける事にした。
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初めダダンはんを見た時は正直こん人に任せて大丈夫か不安になった。せやけど、ガープはんの言う通り口とガラは悪いが何やかんや言ってエースの面倒をよぉ見てくれてる。
「エース!サボ!ルフィ!お前達、少しは大人しくしねぇかっ!?」
(何か増えた…。)
ある日、エースの元を訪れるとガープはんの孫のルフィがおった。サボは少し前からおったのは知っとったけど何でルフィまで?
「あの糞ガープ!いきなり来てルフィの面倒も見ろとほざきやがったっ!」
(うわぁ…。)
ホンマ自由やなぁ、あん人…。ゲッソリとした顔で愚痴るダダンはんには今度美味い酒贈ったろ。