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海賊王の懐刀

第2章 貴方の宝物


17年…その余りにも長い年月にくらりと目眩がするのを花子は感じた。

「あなた…今幾つ?」

「幾つて…42やで?花子はんも同い年やないかぁ。」

見た目は変わってへんけどと、懐かしいそうに目を細めるキンジに花子は戸惑いを隠せずにいた。

「キンジ…もしかしてあなたずっとサバを読んでたの?」

「いつの間にそんなボケかませる様になったん?!」

「だって…ロジャーが処刑されて1年も経ってないでしょ?」

花子がここに流れ着いて3日…どのくらい海を彷徨っていたか不明だがそんなに月日は流れていない筈。

「…ロジャーが処刑されたんは17年前や。」

ー俺の財宝か?欲しけりゃくれてやる!探せぇ!この世の全てをそこに置いてきた!ー

ロジャーの言葉で時代が動いた。彼の財宝を手に入れようと沢山の者が海賊になり海に出た。

「今、海賊王に1番近いと言われとるんは花子はんも知っとる白ひげはんや。」

「ニューゲードが?」

今、海賊の中には4人の皇帝がいる。白ひげ海賊団"白ひげ"エドワード・ニューゲード。ビッグ・マム海賊団シャーロット・リンリン。百獣海賊団"百獣"のカイドウ。そして…。

「こっちも花子はんがよぉ知っとる奴や。赤髪海賊団"赤髪"のシャンクス。」

懐かしい名前に花子はあの日の事を思い出す。一緒に行こう、必ず守るからと涙を浮かべ手を差し伸べてくれた少年。しかし、花子は彼の手を取る事が出来なかった。

「立派になったのね。」

「おん、ピーピー泣いとったあの頃が嘘の様になぁ。」

「ねぇ…ルフィ君の麦わら帽子って。」

「ご名答!シャン坊があげた物や。」

ロジャーからシャンクス。そして今度はシャンクスからルフィに。そうやって彼の意志は受け継がれていくのだと花子は嬉しそうに顔を綻ばせる。

「後、もう1ついいかしら?」

「何や?」

「彼…エース君は…。」

口を開いた花子の唇は震えていた。

「エースは…ロジャーの子や。」

ロジャーが自首をした事を花子は後から知った。しかし、海軍に出頭する少し前に彼は花子に会っていた。

ールージュを…俺の餓鬼を頼んだぜ。ー

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