第9章 ウイスキーピーク
未だ眠りについているサンジとウソップをルフィが引っ張って来て麦わらの一味はビビを連れ港を出航した。目指すは"アラバスタ王国"。まずはログの指す次の島に向かっていると誰のものでもない声が聞こえてくる。
「さっきそこでMr.8に会ったわよ、Ms.ウェンズデー。」
「あんたはっ…!?」
「ビビ、知り合いか?」
「彼女はMs.オールサンデー…Mr.0のパートナーよ。」
メリー号の2階の柵に1人の女が腰掛けていた。自分達を見下ろす彼女をビビは顔を歪め睨み付ける。
「私がB.Wのボスの正体を知ったのは、彼女を尾行してたからなの。」
「わざと尾行させてあげたの。本気でB.Wを潰して王国を取り戻そうなんて馬鹿馬鹿しくて…。」
まるでビビを嘲笑うかの様に言い放つMs.オールサンデーに花子以外の一味が一斉に武器を構えた。しかし彼女は怯える事無く冷たい視線を彼等に送る。
「私にそんな物騒な物向けないでくれる?」
その瞬間、サンジとウソップが投げ飛ばされナミとゾロの武器が弾き飛ばされた。彼女はその場から動いてはいない。悪魔の実の能力者かとゾロ達は警戒を強めた。
「まあ、そう焦らないでよ。私は何も指令を受けて無いの。戦う理由も無いわ。」
「何しやがる!?それに触んじゃねぇ!」
ルフィの麦わら帽子がふわりと浮き彼女の手に納まった。優雅に帽子を手で遊ばせるMs.オールサンデーにルフィは怒りを露にする。
「不運ね、貴方達も…貴方達に守られる王女も。何より不運なのは貴方達のログポースが"リトルガーデン"を指してる事ね。」
愉快そうに微笑む彼女は帽子とエターナルポースをルフィとビビに投げ渡す。
「それは"アラバスタ"のエターナルポースよ。それがあれば最速で"アラバスタ"に着けるわ。」
何故、彼女がそんな物を自分達に渡すのか。何かの罠なのかと困惑するクルー達をよそにルフィはビビからエターナルポースを奪い取ると握り潰した。
「この船の進路を、お前が決めるなよ!」
「そう…残念…。」
自分を睨み付けるルフィを見つめ言葉とは裏腹にMs.オールサンデーは楽しそうに顔を綻ばせ、メリー号の隣に待機させていた巨大な亀の背に飛び乗り去って行った。