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海賊王の懐刀

第9章 ウイスキーピーク


ナミが持ち出した交渉をビビはきっぱりと断った。"アラバスタ王国"は長きに渡る内乱により国の蓄えは無く、その黒幕がB.Wのボスである。

「黒幕って誰なんだ?」

「それは聞かない方がいいわ!聞いたら貴方達も狙われる!いくら貴方達が強くても王下七武海の1人【クロコダイル】には敵わない!」

「…言っちゃってるわよ。」

気付いた時には既に遅かった。B.Wの偵察兼処罰係のコンドルとラッコが何やらルフィ達の似顔絵を描き一目散に去って行ってしまった。

「ちょっと!?何なのよ、あの2匹!あんたが喋っちゃったから報告に行っちゃったじゃない!?」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!」

秘密を知ったと言う事で5人の事はクロコダイルに報告されるだろう。声を荒げるナミに対しビビは狼狽えひたすら謝り続ける。

「ご安心なされいっ!」

ドンッと言う効果音と共に現れたのはビビの格好に変装したイガラムの姿。自分が囮となり時間を稼ぐのでその間にビビを連れて"アラバスタ"へ向かって欲しいと言うが。

「「「…。」」」

「イガラムっ…!」

「ぜってぇバレるだろ…。」

顔を引き攣らせ呟くゾロにビビ以外の者が一斉に心の中で同意する。しかし事は一刻を争う。不安しかないが取り敢えず彼の作戦で進める事にした。

ーーーーーー

「では、王国で!」

ビビの格好に変装したイガラムが船に乗り込む。本当にそれで行くのかと彼を止めようと思うが、自信満々手を振られてはもう止める事も出来ない。港を出航し海に出たイガラムを見つめていると、突然彼の船が爆発した。

「「「?!」」」

鼓膜を刺激する爆音。燃え盛る炎。黒煙が立ち上るそこには先程まで笑顔で別れたイガラムの乗った船の変わり果てた姿。

「っ立派だった!」

B.Wの機動力と容赦ない攻撃に唖然とするルフィ達。ルフィはせめてイガラムの死は無駄では無かったと精一杯の敬意を払った。

「ナミ、ログは?!」

「大丈夫!もう貯まってる!」

「そいつを連れて来い!船を出すぞ!」

ルフィの指示にナミがビビに駆け寄ると彼女は泣くのを堪え血が滲む程唇を噛んでいた。その姿が過去の自分と重なりナミは震えるビビの身体を強く抱き締める。

「大丈夫!あんたをちゃんと"アラバスタ"まで送り届ける!」

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