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海賊王の懐刀

第9章 ウイスキーピーク


「どっちが強いか決着を着けようか。」

「おおっ!」

ビビを助けに行った筈のゾロ。しかし彼はいつの間にか目を覚ましたルフィと決闘をしていた。

「「うおーっ!!」」

緊迫した空気。ルフィが拳を振り被りゾロが刀を構えた。まさに一触即発の状態の彼等を止める者は誰もいない。

「…止めろっ!」

「「ぐほぉっ?!」」

「…わぉ。」

…いない筈だったが、ゾロを追い掛け到着したナミが2人を殴り飛ばしその決闘はあっさりと収束を迎えた。花子はこの時、海賊王に1番近いのはナミなのではないかと思った。

「あんた等ねぇ…!一体何やってんのよ!危うく10億ベリーがパァになるところよ!」

「10億…?」

突然現れた彼女に戸惑いを見せるビビにナミは2人に声を荒げた後、それはそれは素晴らしい笑顔で彼女に向き直る。

「その話をしなきゃ。ちょっとね…契約しない?」

ナミがビビと交渉をしている間、誤解が解けたのかルフィは可笑しそうにゲラゲラと笑いながら膝を手で叩く。

「なんだよ~!俺はてっきり飯が気に入らなくてお前が暴れたのかと思った!」

「てめぇと一緒にすんなっ!」

ルフィが目を覚ました時、町の人々は既にゾロに倒されていた。経緯を知らないルフィは手厚いもてなしをしてくれた彼等に無体を働いたと憤怒した様だ。

「まったく…。」

「仲直りできて良かったねぇ〜!」

呆れた溜息を漏らし花子はルフィに近付いていく。全く悪びれる様子のない彼の鼻を抓み強く引っ張った。

「ルフィ、あなたのその素直な所は良いところでもあるけど、ちゃんと人の話を聞きなさい。」

「はにすんらよぉ〜!」

良くも悪くも真っ直ぐなルフィは偶にこうして暴走する。それは彼の良いところでもあるが毎回この様な事があったらたまったものではない。

「…っ、だって仕方ねぇじゃねぇか!町の奴等、皆倒れてたんだからよぉ!」

「言い訳しない。」

「すいません…。」

きゅっと眉を顰め自分を見据える花子に、まるで子供の様にルフィは身体を小さく縮こませていた。


(そんな大金、無理よっ!?)

(どうして?貴女、王女なんでしょ?)

(なぁナミの奴、何やってんだ?)

(…金策?)

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