第9章 ウイスキーピーク
血を流し倒れるイガラムに駆け寄ろうとしたビビにMs.バレンタインが襲いかかる。既の所で攻撃は交わしたが状況は思わしくない。
「事情は全く理解できねぇが長く手を組んだ好だ。時間を稼いでやる。」
2人に立ち向かおうとしたビビの前に立ち塞がったMr.9が武器を構えた。彼女を助けようと彼等に飛び掛るもMr.5が飛ばした鼻くそによりMr.9は遥か彼方まで吹き飛ばされてしまった。
「おいおい…何て危ねぇ鼻くそだ?!」
「…悪魔の実の能力者ね。」
「剣士殿!貴殿の力を見込んで理不尽な願いを申し奉る!」
「奉るなっ引っ付くなっ離せっ!?」
Mr.5の攻撃に唖然としているゾロの足を掴みイガラムが嘆願する。あの2人は両者共悪魔の実の能力者故、自分に変わって王女を守って欲しいと。
「遥か東の大国"アラバスタ王国"に王女を無事に送り届けてくださればっ…ゲホッ…必ずや莫大な恩賞を貴方方にっ…!」
「莫大な恩賞って本当?」
勝ち目は無いと悟ったビビが超カルガモ・カルーの背に乗り逃げ出した。彼女を追って去っていくMr.5達に焦り追い縋るイガラムに、声を荒げるゾロとは別に弾んだ声が聞こえた。
「ナミ!?」
「10億ベリーでどう?」
潰れている筈のナミが満面の笑みでイガラム達を見下ろしている。どうやら彼女も町の不穏な空気を感じ取り酔った振りをしていた様だ。
「で?10億ベリーの恩賞は約束してくれるの?」
「…では、王女に直接交渉していただければ!」
10億と言う膨大な金額にイガラムは驚愕するも、まずは王女の身の安全を確保すると言う事で話は纏まった。
「…分かったわ、まずは王女を助けてあげる。さぁ、行くのよ!ゾロ!」
「俺かよ!何で、てめぇの金稼ぎに付き合わなきゃいけねぇんだ!こいつに頼め!」
さも当たり前かの様にビビの去った方を見つめ言い放つナミにゾロは声を荒げ花子に指を差す。
「何で花子さんがそんな事しなきゃいけないのよ。それに、あんた私に借りがあるの忘れたの?」
「俺はいいのかよ!?後あの金はそのまま返しただろ!」
"ローグタウン"で刀を買う為にゾロはナミから金を借りた。結局使う事なく全て彼女に返したから貸し借りは無い筈なのだが。
「私は3倍の利子で貸すって言ったのよ。つまり、あんたは後20万ベリー私に借金してんの。」