第9章 ウイスキーピーク
花子 side
突然の状況に頭がついていけない。只、分かるのはゾロ君にキスをされていると言う事。
「…何、してるの?」
「…悪ぃ。」
いや、謝られてもこまるんだけど…。私もいい大人だからキスの1つや2つで煩く言うつもりは無いけど普通に驚くわよ。
「欲求不満?」
「違ぇっ!?」
自分の行動に戸惑っているのかゾロ君はあーやらうーやら唸りながら罰が悪そうに目を逸らす。
「…まぁ犬に戯れられたと思っておくわ。」
「…それはそれで腹立つな。」
だってそうでも思っておかないと理解が出来ないもの。不満そうに顔を顰めるゾロ君は何を思ったのか私の顔の横に両手を着いた。
「…何よ。」
「犬が戯れた様なもんだろ?だったら気にするこたぁねぇよな。」
それとこれとは別でしょ!ニヤリと悪い笑みを浮かべ顔を近付けてくるゾロ君から離れようとするけど、後ろが壁だから逃げ場が無くなってしまった。
「!…ゾロ君、待って。」
「…あぁ。」
彼が倒した人達とは別の気配を感じる。ゾロ君も感じ取ったのかピタリと止まると私から身体を離し気配のする方へ目を向ける。
「くそっ…まさか剣士1人にここまでやられるとは…。」
「…Mr.8。」
地面に倒れているMr.8が苦々しげに顔を歪めていると、チリ毛のボンバーヘッドにサングラスをかけた男性と金髪のショートヘアに碧目の女性が彼に近付く。
「Mr.5!Ms.バレンタイン!」
「我々を助けに…。」
「私達はボスの言葉を伝えに来たのよ。」
顔を綻ばせるMs.ウェンズデーだったけど2人の様子から援軍に来た訳では無さそうね。
「ボスの言葉は【俺の秘密を知られた】だ。調べていくとある王国の要人が潜り込んでいる事が分かった。」
Mr.5の言葉にMr.8とMs.ウェンズデーの顔が強張る。何かを悟った様にMr.8は立ち上がると巻き髪に仕込んでいた銃を2人に向かって放った。
「お逃げくださいっ!」
しかし、彼の銃撃を受けても2人は無傷でその場に立っている。尚も攻撃を続けるMr.8の身体が突然爆発した。
「イガラムっ!?」
「罪人は、アラバスタ王国護衛隊長イガラム。そして、アラバスタ王国王女ネフェルタリ・ビビ!お前達をB.Wボスの名の元に抹殺する!」