第9章 ウイスキーピーク
B.W【バロックワークス】。盗み・諜報活動・賞金稼ぎ・暗殺・組織への人材勧誘等を主に活動している秘密犯罪会社。構成員達はお互いをコードネームで呼び合っており、お互いの素性も詮索してはならない。
「昔のお前等の会社からスカウトされた事がある。蹴ったけどな。」
自分達の組織の事を知るゾロにMr.8達は動揺を隠しきれず狼狽える。彼等の組織の社訓は徹底な【秘密主義】。それを知られたとなれば彼を生かしておく訳にはいかない。
「Mr.8!剣士の男と子連れの女が何処にもいねぇっ!?」
「何だと?!」
(花子が?)
ゾロが外に出た時、花子が動く気配はしなかった。慎重な彼女の事だから心配する必要は無いと思うが。
「やっぱり、おかしいと思ったのよ。」
「?!」
声が聞こえ目を向けると眠っているユラを抱えた花子がニコニコとゾロの隣に立っていた。彼女が近付く気配はしなかった。いつの間に現れたのかとゾロは目を見開く。
「貴様っ!香の煙で眠っている筈っ!何故、起きている?!」
「悪いけど、私にはそんな物効かないの。」
ふと悲しげな笑みを浮かべる花子だったが、すぐに元の笑顔に戻る。ユラは少し煙を吸ってしまったのか気持ちよさそうに寝息を立てていた。
「B.W…よく知ってるわ。…勿論、貴方達のボスの事もね。」
「っ?!…我々の会社の事を知っているとなれば生かしてはおけぬっ!」
殺せとMr.8の怒号が響いたと同時にその場にいた100人程の賞金稼ぎ達が一斉に武器を構える。
「…それで?ゾロ君はどうするの?」
「あ?」
「敵は100人程の賞金稼ぎ、必要なら手を貸すわよ?」
にっこりとまるで試す様な笑顔の花子に一瞬、顔を顰めるもゾロは挑発的な笑みを浮かべMr.8達を見下ろす。
「必要ねぇ、お前は子守でもしてろ。」
「そう…じゃあ、頑張ってね。」
完全に傍観者側に回るのか花子はユラを抱えたままその場に座り込む。呑気な彼女の態度に呆れるも、"ローグタウン"で手に入れた新しい刀のデビュー戦だと意気揚々と敵陣に飛び込んだ。
(あら、中々やるわね。)
(う〜ん…もう…たべれなぃ…。)
(ふふっ、可愛い。)でも、少しルフィに似てきたわ…