第2章 貴方の宝物
キンジ side
あん時、左胸に刻まれているジョリーロジャーを見つめ花子はんは嬉しそうに顔を綻ばせとった。何でタトゥーなんか入れさせたんやと、ロジャーに詰め寄ったら知らん間に入れとったらしい。
ー花子はんが傷物にぃ~っ…!ー
ーその言い方止めて…。それに…これは誓いなの。ー
ー誓い?ー
ー私の心はロジャーのもの…あの人の為なら命だって捧げられる…。ー
そう言った花子はんは見惚れる程綺麗やった。目の前の女も愛おしそうにタトゥーを撫で呟いた。
「今も昔も…これから先も…私の心はあの人だけのもの…。」
「っ!」
あぁ…なんてウチはアホなんや…。目の前にいる人は会いたくて仕方が無かった人やないか…!
「花子はんっ…!」
「やっと信じてくれた?」
勢いよく立ち上がりウチは花子はんを力の限り抱き締めた。倒れた椅子なんか気にしとれんくらい彼女の存在を確めるのに必死やった。
「花子はんっ…!」
「ごめんね…心配ばかりかけてしまって…。」
優しく抱き返しウチの頭を撫でる温もりに腕の力を強めた。今まで何処にいたんや?何でここにおんのや?聞きたい事はぎょおさんある。せやけど…今は…。
「会いたかったっ…!」
大好きな花子はんの温もりに縋りたかった…。
ーーーーーー
散々泣き散らかすウチを花子はんは何も言わず抱き締めてくれた。顔も声も体型すらもあの時のまま。大分落ち着いたウチは彼女から身体を離した。
「なぁ花子はん、今まで何処におったん?ウチめっちゃ探したんやで?」
花子はんがロジャーん所に行ったんは知っとった。何せあん時の花子はんを止めれんかったんはウチやからな…。
「レイリーはんに聞いても知らん言うし、シャン坊に至ってはギャン泣きするし…ホンマ17年も何しててん?」
一応、白ひげはんの所にも行ったんやけど無駄足やった。故郷に身を隠したと言う事は考えにくい。ホンマに何処におってん。
「ちょっと待って、キンジ。」
あれこれ質問するウチに困惑しとる様な花子はんの表情。あ、その顔可愛ぇ…♡
「17年って…どう言う事?」