第9章 ウイスキーピーク
化け物が出るかもしれないと島に上陸する事を拒むウソップをよそに他のメンバーは上陸する気満々である。
「おっ…おい!聞いてくれ!急に…持病の【島に入ってはいけない病】がっ…!」
「えっ?!ウソップ、大丈夫?!」
謎の持病が発症し胸を押さえ蹲るウソップに駆け寄り心配そうに顔を覗き込むユラに対し、彼は違う意味で痛む胸を押える。
「まぁ、用心する事に越した事は無いわ。特にルフィは手配書も出てるんだし。」
海賊と言うだけでけ倦厭する島は多い。ルフィに至っては手配書も出ており、それを目当てに狙われる可能性もある。
「そうなったら、そん時考えようぜ。早く行こう!目の前に島があるのに上陸しないなんておかしいだろ!」
「私の話、聞いてたぁ~?」
「はなへぇ〜!」
事ある事に問題を持ってくるルフィに釘を刺したつもりだったが、当の本人は目の前にある島の事しか頭にない。花子はヒクリと口元を引き攣らせにっこりと微笑みを浮かべながらルフィの両頬を抓る。
「大体、あなたはもう少し物事を考えて「らって、なんかあったら花子がいるらろ!」
「え?」
ムキーッと奇声を上げるルフィに花子は目を丸くする。彼女の手の力が緩みルフィの頬がパチンッと音を立て元に戻る。
「何かあっても花子が側にいるだろ!だから、何の心配もねぇ!」
ーお前が側にいりゃあ、俺ぁは安心だ。ー
大概の事は何とかなると出たとこ勝負のルフィだが、花子の前では甘える様に身を任せている。痛くもない頬を押さえ拗ねた様に口を尖らせるルフィに、花子は仕方なさそうに顔を綻ばせた。
「もう…じゃあ、ユラと3人で島を見て回りましょう。」
「おう!冒険だ!」
「ねぇ…花子さんて…。」
「あぁ…。」
嬉しそうに飛び付くルフィを受け止め優しく彼の頭を撫でる花子を見つめ一味の心の声がシンクロした。
(((滅茶苦茶…ルフィに甘くないか?)))
唯一ルフィのストッパーだと思っていた彼女だったがその可能性が薄れ一味の頭に不安が過る。
(取り敢えず着いたら飯だ!)
(何が食べたいの?)
(肉っ!)
(…野菜も食べなさい。)