第9章 ウイスキーピーク
自分が判断を間違えば仲間は全滅。ナミは自身の航海術が通用しないグランドラインと言う海の恐ろしさを痛感した。
「大丈夫よ、ナミ。」
「花子さん…。」
不安そうに海を見つめるナミに花子は優しく微笑み彼女の頭を撫でた。まるで、彼女なら出来ると励ます様に。
「ほら、見て。貴女のお陰で最初の航海が無事に終わったわ。」
「あ…。」
花子が指を差す先には霧でよく見えないがサボテンの様な大きな山が微かに見える。間違いなくここが彼等の最初の目的地"ウイスキーピーク"。
「では、我々はこの辺でお暇させていただくよ!」
「送ってくれてありがとう、ハニー達。縁があったらまたお会いしましょう!」
「「バイバイベイビー!」」
先程の疲労は何処へやら。目的の場所に辿り着いたMr.9とMs.ウェンズデーは勢い良く立ち上がり、一味に別れを告げると海に飛び込み泳ぎ去って行った。
「…行っちゃった。」
「何だったんだ?あいつ等…。」
「ほっとけ!上陸だー!」
嵐の様に去って行った2人を呆然と見つめる一味だったが、ルフィだけはさして気にする事無く初上陸に心を踊らせている様子。
「…。」
「花子さん?どうしたんだい?」
「…何でもないわ。それより皆、私達にはこの島に滞在しなくちゃいけない時間がある事を忘れないでね。」
「そうだ!ログを貯めないといけないんだったわ!」
不思議そうに顔を覗き込むサンジに花子はふっと表情を和らげ、早く上陸しようと浮足立つ仲間に声をかけた。
「この島の磁気をログポースに記憶させないと次の島には行けない。」
「何でだ?」
「ルフィ…あなた、クロッカスさんの話聞いてなかったの?」
「ログポースに記憶を貯めないと次の島への進路がわからずに迷っちゃうでしょ。」
「あっ!そうだった!」
ナミの説明を聞き今思い出した様に声を上げるルフィに花子は頭を抱える。難しい事は理解する気は初めから無いのだろうが、少しは真剣に話を聞いて欲しい。
「島によって、貯まるログのスピードは様々。数時間もあれば、数日もある。」
「じゃあ、化け物が出る島でもログが貯まるまで出られないって事かぁ?!」
ログの仕組みを理解したウソップは顔を青くさせ奇声を発しながら身体を震わせていた。