第8章 双子岬とアイランドクジラ・ラブーン
キッチンに集めたルフィ達を見つめ花子はゆっくりと口を開いた。
「これから私が話す事は信じられないかもしれないけど…聞いて欲しいの。」
「…こいつ等は聞いて良いのか?」
真剣な眼差しの彼女にゾロが双子岬で同乗させた2人にチラリと目線を移す。別に聞かれて困る事ではないし、何より彼等から目を離すのは心配だと花子は頷いた。
「私は…元海賊だった。」
海賊団は解散し船長も処刑された。震える声で説明する花子にルフィ達は何も言わず耳を傾ける。
「彼の船にいた時の私の呼び名は…"剣姫"…。」
「?!おい!それって!?」
「ゾロ、知ってんのか?」
初めて聞く名にルフィやウソップは首を傾げるがゾロ、ナミ、サンジは驚いた様に目を見開く。
「私は…海賊王の…ロジャー海賊団のクルーだったの。」
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海賊王の懐刀"剣姫"の花子。その名を知らない者はいない。花子の話を聞いた一味は動揺を隠せずにいた。
「何でお前等そんな驚いてんだ?」
「何でってっ…!何であんたはそんな冷静なのよっ?!」
「だって俺、知ってるし。」
鼻をほじり答えるルフィにナミはだったら言えと声を荒げる。そんな彼等の遣り取りに苦笑いを浮かべる花子にウソップが口を開く。
「…だかよぉ、ゴールド・ロジャーが処刑されたのは22年だろ?」
「お前、今いくつだよ。」
「…女性に年を聞くものじゃないわよ。」
花子の見た目は20代後半ぐらいだ。無遠慮に年を尋ねるゾロに花子はジトッとした視線を向ける。
「まぁいいわ、私は今30よ。」
「…だったら尚更辻褄が合わねぇ。」
彼等の知る剣姫は立派な大人だ。もし本当に花子が海賊王の船に乗っていたとしても8歳ぐらいだろう。
「ロジャーが処刑された後、海軍の追手から逃げている途中で私は海に落ちた。」
あの時の事は今も鮮明に覚えている。肺に入ってくる海水の温度…これでやっと彼の側にいれると思った自分に語りかける声…。
ー馬鹿野郎…お前の来る場所は…ここじゃねぇ。ー
「私は…22年前から来たの…。」