第8章 双子岬とアイランドクジラ・ラブーン
ルフィが喧嘩を売ったクジラはアイランドクジラのラブーンと言うクジラだった。ラブーンは50年もの間この岬で仲間の帰りを待ち続けているのだと言う。
「50年もこの岬で…。」
「しかし、まだその仲間の帰りを信じて待ってんのか?随分待たせるな、その海賊達も。」
「バーカ!ここはグランドラインだぞ。2、3年で帰るっつって、50年たってんだ。…もう死んでるだろう。帰って来ねぇよ…!」
「てめぇは何でそう夢のねぇ事を言うんだ!まだ分からねぇだろう?帰ってくるかも知れねぇ!美しい話じゃねぇか!仲間との約束を信じ続ける鯨なんて…。」
サンジの言葉にウソップが目くじらを立てるが実際彼の言う事にも一理ある。このグランドライン、何が起こるか分からない。海賊達が旅立って50年も断っているのだから彼等はもう…。
「…だが、現実は残酷なものだ。彼等は逃げ出したのだ。このグランドラインから。確かな筋での情報で確認済みだ。」
「じゃぁ、見捨てやがったのか?このクジラを!そいつ等を信じてこいつは此処で50年も待ち続けてんのに…!酷いぞ!そりゃあ!」
「でも、それが分かってるんだったらどうして教えてやんないの?このクジラは人の言う事が理解できるんでしょ?」
「言ったさ包み隠さず全部な。だが聞かん。」
「聞かない?」
何度も語りかけるもラブーンはクロッカスの言葉に聞く耳を持たない。ラブーンは信じているのだ…。例え何十年経とうとも彼等は必ず迎えに来てくれると…。
「…それ以来だ。ラブーンがリヴァースマウンテンに向かって吠え、レッドラインに自分の身体をぶつけ始めたのも。まるで彼等があの壁の向こうから帰ってくるんだと主張するかの様に…!その後も何度も海賊達のことを伝えようとしたが…ラブーンは事実を決して受け入れようとしない。」
雄叫びを上げラブーンはこれからも身体を打ち続けるだろう…。何処にいるかも分からない仲間に自分はここで待っているのだと訴えかける様に…。