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海賊王の懐刀

第8章 双子岬とアイランドクジラ・ラブーン


花子 side


ルフィ達も無事脱出出来たみたいだし私もそろそろ皆の所に戻ろうかしら。ユラを抱え朱雀の背に乗った私は皆がいるメリー号の甲板に下り立った。

「皆、無事で良かったわ。」

「花子〜!てめっ、俺達を見捨てやがったなぁ〜!」

恨めしそうに私を睨み付けるウソップ君の頭を誤魔化す様に撫でる。まさか、そんな事されるとは思っていなかったのか彼は驚いた様に目を丸くした後、恥ずかしそうに視線を泳がせる。

「花子…なのかっ…?!」

「…お久しぶりです、クロッカスさん。」

「ん?花子、花のおっさんと知り合いなのか?」

花のおっさんって…。一応、彼はあなたの先輩なんだけど…。失礼な事を言うルフィは後でお説教するとして、私はナミにユラを預け動揺しているクロッカスさんに近付いた。

「本当に…花子なんだな…!」

「はい…ご心配をおかけしました…。」

私の姿を目にし狼狽えているクロッカスさんの瞳が揺れる。申し訳無さが募り何と言葉をかけようか言葉に詰まっていると、逞しい腕に抱き締められた。

「無事でっ…!良かったっ…!」

絞り出された声は微かに震えていて懐かしい彼の温もりが嬉しくて…答えるように私もそっとその広い背中に腕を回した。

ーーーーーー

「しかし、お前は何処にいたのだ?あの日、姿を消したと聞いていたが…。」

「…信じられないかもしれませんが。」

私は彼に全てを話した。ふざけている様な私の話をクロッカスさんは真剣に聞いてくれた。

「成る程な…。」

「正直、私も何が何だか…。」

何故、私がこの世界に来たのか…何の為にここにいるのか…。でも…あの時、確かにロジャーの声が聞こえた気がした。

ー馬鹿野郎…お前の来る場所は…ここじゃねぇ。ー

「あの人は…最後まで私を側に置いてはくれなかった…。」

「…。」

どんな形でもいい…あの人の側にいたかった…。でも、ロジャーは来るなと…自由に生きろと言った…。

「あいつはな…お前を船に乗せた事を後悔していた…。」

「え…。」

「やっと自由になったお前を自分の側に縛り付けていいのかと…。」

悲しそうに眉を下げ笑うクロッカスさんに胸がぎゅっと苦しくなる。そんなの…決まってるじゃない…。

(私は…貴方と共に生きたかった…。)

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